背水の住友ファーマ、窮地脱却を占う「次の焦点」 親会社の住友化学は「パートナー探し」を開始
薬の開発は、製薬企業の成長を占う要だ。自社で開発するにせよ、買収などによって他社の開発品を導入するにせよ、相応の費用と時間を要する。業界では売上高の2割前後を研究開発費に回すことが一般的とされ、成功確率も低いことから、複数の製品を並行して開発する必要もある。 住友ファーマで目下開発が進んでいる品目数は約20。売上高が同規模の塩野義製薬やエーザイでは40近くあり、競合と比べると少ない状況だ。今期だけでなく来期も、研究開発費は500億円程度に抑える方針という。
■住友化学はすでに売却を模索か 資金繰りが厳しさを増す中、当面は中長期的な成長投資よりも、会社の存続に向けたコストカットに集中せざるをえない住友ファーマ。こうした状況下で、親会社の住友化学は4月30日に開いた会見で、住友ファーマへの出資比率(現在は約51%)を変更する可能性について言及している。 これについて野村社長は「住友ファーマを今後どう成⻑させていくかという中での話と理解しており、(出資比率の変更や他社への株式売却などの)提案があれば、前向きに検討したい」とコメントしている。複数の業界関係者によれば、住友化学はすでに複数の製薬企業に対し、住友ファーマの株式売却を打診しているもようだ。
また、住友化学は住友ファーマの再生医療事業について、住友化学主導で今期中にも別会社化すると発表している。住友化学の岩田圭一社長はこの新会社について、パートナー探しをすでに進めていると明かした。 コストカットを進めつつ、新たなパートナーを見つけることはできるのか。明確なシナリオはまだ見えてこない。
兵頭 輝夏 :東洋経済 記者