インバウンド客が10年で30倍に!?「スピリチュアル旅」で外国人が殺到する県とは?
インバウンド客が増えている昨今、「スピリチュアル旅」が外国人観光客のなかで密かなブームになっている。そのニーズに応えて人気の観光地となりつつある日本のスポットを、人気旅行アナリストの鳥海高太朗氏が教えてくれた。※本稿は、『鳥海高太朗が選ぶ 外国人観光客が見つけた47都道府県ニッポン新名所図鑑』(宝島社)より一部抜粋・編集しお送りします。 【この記事の画像を見る】 ● 世界的な観光トレンド 「スピリチュアルな旅」 もともと「2020年外国人が訪れるべき 日本の観光地ランキング(外国人向け日本情報サイト『ガイジンポット』調べ)」で和歌山県は1位に選ばれたものの、コロナパンデミックで観光がストップ。話題が消えたままとなっていました。 しかし2023年、観光庁が和歌山県南部の熊野エリアを「富裕層の訪日誘客モデル地域」に選出したことから業界の注目を集めています。 最注目は「熊野古道」や落差日本一を誇る「那智の滝」など、見どころが多い「那智勝浦町」です。 世界的な観光トレンドで「スピリチュアルな旅」への関心が高まっています。2000年代に哲学者の梅原猛氏が「熊野は山に木の実を採り、海に魚を捕るという、縄文的生活が近年まで残っていた」と語ったように、和歌山県深南部は縄文の匂いが濃いエリアといえます。
東京から新幹線+特急でも、飛行機を使っても到着まで5時間以上かかる那智勝浦は、台湾の台北に行くよりも時間がかかる町です。 太古の昔、紀伊半島に超巨大火山があった影響で「火山がないのに温泉が豊富」という特異な地域性、地殻変動により隆起した巨岩、滝などが多いこの町は、40年もの間、開発から忘れられた地でもありました。那智大社や青岸渡寺など、ガイドブックに登場する寺社の近くに、仏教伝来以前の日本人の原始信仰の貴重な姿を今も見ることができます。古代からのそれらの痕跡に、ようやく注目が集まっています。 2023年、地方創生で知られる冨山和彦氏率いるIGPIグループが、この町に建つ西日本最大級の「ホテル浦島」を買収。同時に経営権をもつ南紀白浜空港とのインバウンド誘致の連携を計画しています。 和歌山県の熊野エリアは、今後“アドベンチャーツーリズム”の聖地として知られていく可能性が高いといえるでしょう。