【台湾】鴻海、エヌビディアのAIスパコン使用へ
EMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手の鴻海精密工業は19日、米半導体大手エヌビディアが台湾に整備した人工知能(AI)スーパーコンピューター「タイペイ―1」の第2弾の使用者リストに選出されたと明らかにした。同スパコンを活用して、スマート医療分野におけるAI技術の応用を強化するとしている。 タイペイ―1は、台湾経済部(経済産業省)が各企業の研究開発(R&D)を促進する目的で打ち出した「大Aプラス計画」の一環として、エヌビディアが2023年に整備。経済部は同スパコンの計算資源の一部を無償利用することでエヌビディアと合意しており、これを域内の産官学に開放することで、生成AIや大規模言語モデル(LLM)などの技術の研究開発を後押しする方針を示していた。 鴻海は、台中市の台中栄民総医院(台中栄総)、新北市の天主教耕シン医療財団法人耕シン医院(シン=くさかんむりに辛)との提携計画でタイペイ―1を使用する。台中栄総とは、医療現場でのロボットの活用に関するシミュレーションテストを行い、ロボットの運用効率の改善や運営コストの低減について分析する。また台中栄総、耕シン医院とはそれぞれ、医師向けのAI診断補助・予測モジュールを共同開発する。 鴻海は、タイペイ―1のデジタルツイン(現実世界のデータを使い、仮想空間上に同じ環境を再現する技術)やメタバース(仮想空間)、ビッグデータ分析に特化した設計を生かし、鴻海の膨大なデータ処理、スマート医院内の看護師とロボットの連携シミュレーション、AI診断補助・分析の深層学習(ディープラーニング)の訓練などに運用することができると説明した。