阪神・近本 4年連続GG賞は赤星氏以来 同氏から金言「伸びしろがあるとしたら、ポジショニング」
守備のベストナインを選ぶ「三井ゴールデン・グラブ賞」が12日に発表された。阪神からは近本光司外野手(30)が唯一選ばれ、4年連続4度目の選出となった。4年連続は、球団の外野手では03~06年の赤星憲広(現本紙評論家)以来となる快挙。来年は、新庄剛志(現日本ハム監督)が持つ球団最長の5年連続に挑む近本に、赤星氏から金言が贈られた。 3年連続盗塁王の近本が、また一つ勲章を手にした。ゴールデングラブ賞に4年連続4度目の選出。球団を通じて「4年連続で受賞することができて、とても光栄に思います。サポートしてくれた多くの方々に感謝したいです。今回で満足することなく、来年以降もまた受賞できるように頑張ります」と喜びの声を残した。 不動の中堅手として今季も141試合に出場した。フライなどの捕球によるアウトを示す「刺殺」は294を数え、広島・秋山の305に次ぐリーグ2番目の多さをマークした。守備範囲が広い証拠で、追い方が難しい後方の打球への目測と捕球技術は卓越していた。左翼・前川、右翼・森下の守備位置をコントロールし、司令塔としても存在感を発揮。打撃では6月に不振に陥ることがあったものの、自慢の脚力を生かした広範囲をカバーする守備で、投手陣を何度も救った。 4年連続の受賞は、球団では03~06年に選ばれた赤星憲広以来。赤星氏は、近本について「スピードを生かした横の動きは元々良かった。入団以来、少し苦手にしていた前後の守備範囲を年々、広めてきた。近本が頭を越されたら投手は諦めもつく」と、“後継者”としての資質を評価した。その上で、さらに上昇の余地があると見込んでいる。 「ここから近本がさらに成長する伸びしろがあるとしたら、ポジショニングでしょう。データや相手打者のタイプ、調子、自軍投手の球種などで飛ぶコースなどを予測できる。私はストライクカウントで一球一球、守備位置を変えていた。2ストライクになると右打ちをしてくる打者には、極端な守備位置に守っていたし、点差や塁上の走者の状況で打球方向もデータに表れる。そういうことは経験でも感じられること」 偉大な先輩からのアドバイスを自身の技術に落とし込めれば、日本ハム・新庄監督が阪神時代、96~00年に記録した球団最長の5年連続受賞が現実味を帯びてくる。来季は球団創設90年。近本が打撃と足と守りで、2年ぶりのV奪回の中心を担う。 ▽ゴールデングラブ賞 72年にダイヤモンドグラブ賞として始まり、86年から現名称。今年で53回目となる「守備のベストナイン」表彰。選考は新聞、通信、放送各社のプロ野球担当として5年以上の経験を持つ記者による記名投票で行われる。今年の有効投票数はセが298、パが259だった。 ○…阪神の外野手でゴールデングラブ賞(GG賞)の最多受賞は新庄剛志の7度。連続受賞の最長は、新庄が1996~2000年にかけてマークした5年で、近本が来季も獲得すれば球団記録に並ぶ。GG賞の外野手最多及び連続最長は、福本豊(阪急)が1972~83年にかけて記録した12年連続12度。セ・リーグの外野手で最多は山本浩二(広)が72~81年にかけて10年連続10度、受賞している。