藝大発、音のスタートアップ 「聴きすぎない音楽」で社会に貢献
東京藝大と39の機関が連携した取り組み
こうした環境下、東京藝大では、積極的に社会連携を進めている。昨年、日比野克彦学長をリーダーに藝大の研究と社会をつなぐ「芸術未来研究場」を立ち上げ、その発表の場となる展示では、古川もインタラクティブなインスタレーション「しゃぼん玉」を発表した。 また、キャンパス内Arts &Science Lab棟 には、「イノベーション共創空間」がある。東京藝大と39の機関が連携し、「共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点」として、文化活動を通じた社会課題解決に取り組んでいる。 「東京藝大発ベンチャーは、藝大施設を使い、優秀な学生らの巻き込み、企業連携できる面で大きなメリットがある。cotonのような受け皿が増えれば、大学は研究成果の社会実装を増やすことができる。アーティストは創作活動や研究と、社会実装を両立できるようになるのでは」(古川) cotonに次ぐ3社目、4社目には、どんな東京藝大発スタートアップが現れるだろうか。 松尾謙二郎◎株式会社coton代表取締役社長 作曲家、クリエイティブディレクター、アーティスト。サウンドを軸とした物作りでアナログ、デジタルを超えたクリエイティブで活動中。カンヌ国際クリエイティブアワードゴールドなど広告関連の受賞多数。株式会社インビジ代表。 古川 聖◎株式会社coton顧問 東京藝術大学先端藝術表現科教授、共創拠点アート開発ユニットリーダー兼任。専門は作曲、実験音楽、メディアアート。古川研究室を主催し理化学研究所を始め国内外の機関、科学者と共同研究を行っている。W・ミュンヒと制作した「しゃぼん玉」はZKM(ドイツ)に常設展示されている。
Forbes JAPAN 編集部