スーパーGTが予選方式を微調整。Q1基準タイムの撤廃で、ピットスタートのリスクが軽減
スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションは4月26日(金)にブルテンを発表。スポーティングレギュレーション(SpR)の一部改定を明らかにした。 【動画】2024 スーパーGT開幕戦岡山:決勝ハイライト(GT500) 改定されたのはSpRの付則-8「予選方式の実施細則」について。今季からスーパーGTでは予選Q1とQ2の合算タイムでグリッドを決定する新方式が導入されており、先日行なわれた開幕戦岡山が新方式での最初のレースとなった。 これまでとは大きく異なる、なおかつ複雑な予選フォーマットとなるため、GTAも事前テストの段階から関係者のフィードバックを様々集めており、3月の公式テストでの模擬予選を経て、開幕戦の前にはGT300クラスのQ2のセッション時間が8分から10分に改められるなどの微調整が行なわれていた。 そして今回、第2戦富士を前に改められたのは、“予選不通過”の基準についてだ。 これまでのレギュレーションでは、Q1、Q2共に「基準タイム(各組上位3台平均の107%)を達成しなければならない」とレギュレーションに明記されており、いずれかのセッションで基準タイム未達、もしくは未出走の車両については予選不通過となり、決勝はピットスタートになるとされていた。 この規則によって開幕戦で大きな痛手を負ったのが、ARTAの8号車であった。8号車は開幕戦の予選Q1、松下信治がアタックラップの前半セクターで好タイムをマークしていたものの、最終コーナーで4輪脱輪。それでも10番手に相当するタイムだったが、この記録は走路外走行により抹消となった。残ったセカンドベストタイムはアタックラップではなかったため基準タイムには到達しておらず、8号車はこの時点で予選不通過とピットスタートが決定し、Q2の出走を見送った。 1ミスがピットスタートに繋がってしまうという、新規則のシビアな一面が顔をのぞかせた一幕であったが、この規則は改定される形に。改定後の規則では「Q1ではコース上のコントロールラインを通過しタイムを記録しなければならない」「Q2では基準タイムを達成しなければならない」とされている。なお、ウエット宣言時には基準タイムは適用されない。 これにより、開幕戦のARTA 8号車のようにQ1でミスがあった車両も、Q1で1周でもタイムを計測していて、なおかつQ2で107%基準タイムをクリアしていれば、ピットスタートは免れるような方式となった。GT300も含めた集団がスタートを切ってから発進できるピットスタートは大きなタイムロスとなるため、Q1でミスがあった車両がQ2を走らない……そんなシチュエーションは回避されることになるだろう。 なお、予選不通過の車両が複数台いる場合は、原則として以下のグリッド順になるという。基本的にはQ1に出走しているかどうかがまずは優先される形だ。 1. Q1出走/Q2出走(基準タイム未達) ※複数台の場合、合算タイム順 2. Q1出走/Q2不出走 ※複数台の場合、Q1ベストタイム順 3. Q1不出走/Q2出走(基準タイム達成) ※複数台の場合、Q2ベストタイム順 4. Q1不出走/Q2出走(基準タイム未達) ※複数台の場合、Q2ベストタイム順 最後尾. Q1、Q2とも不出走(計測タイム無し) ※複数台の場合、公式練習のベストタイム順 ■初の富士3時間レース、ピットインは2回義務付け また、5月3日(金)、4日(土)に開催される第2戦富士は初の3時間レースフォーマットとなるが、それに際してのピットイン義務等の規則も公示された。 まずタイヤの持ち込みセット数に関しては、開幕戦岡山のような300kmレースはドライタイヤ4セット、ウエットタイヤ5セットとされているが、第2戦ではドライタイヤ6セット、ウエットタイヤ7セットまでと定められている。ただし前年度から前戦まで優勝できなかったタイヤメーカー(今回はGT500のダンロップが該当)は、ドライタイヤの持ち込み本数を1台あたり1セット追加できるようになっている。 そして今回は今季初の長距離レースということで第3ドライバーの登録が認められており、GT300クラスで12台が第3ドライバーを登録している。この第3ドライバーは、決勝レースでの運転距離が50km(11周)未満の場合は得点が付与されない。 ピットインの義務回数については、「給油を伴う」ピットインを2回行なうことが義務付けられる。つまりタイヤ交換の有無は指定されていない。そして今回ピットウインドウが指定されており、「先頭車両が5周回目(4周終了後5周目に入った周回)の第1SCラインに到達した時点から先頭車両が最終周回に入る前までに完了しなければならない」と記されている。なおセーフティカー中にピットインしての給油作業も、ピットレーンオープン後には可能ではあるが、義務ピットインの消化にはカウントされない。
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