8年ぶりドラマ復帰の奥菜恵 「子育てと仕事は両立」
13歳でデビューしてから、今年で22年。1990年代後半から2000年代前半にかけては引っ張りだこの状態だった。KinKi Kidsと共演した1996年のテレビドラマ『若葉のころ』、二役に挑んだ1998年の『青の時代』、のちにハリウッドでリメイクされた2002年の映画『呪怨』と枚挙にいとまがない。ところが2007年に転機が訪れる。それまで所属していた事務所を退社し、突然の充電期間に入った。 「自分の人生そのものを見直したい、リセットしたいと思った時期でした。女優である前に、一人の人間としてどのように生きていけばいいのか。全てを真っ白にしたかった」。そしてニューヨークへ。「事務所退社も含めて、その時の自分にとっては無理のない、自然な選択でしたね」と振り返る。 その「充電期間」に、奥菜は遠く離れた日本からオファーを受ける。それが日本へと戻り、演劇の世界へも戻るきっかけとなった。「ニューヨークにいた2007年頃に、俳優仲間から長塚圭史さん主宰の“阿佐ヶ谷スパイダース”の舞台に出演しないかというお話をいただきました。もう一度日本に戻ってやってみたら、本当に楽しかったんです。それからも数々の舞台を経験させてもらって、さらに演じることの面白さや楽しさを知りました。その時に声をかけてもらえていなければ、充電期間はもっと長くなっていたかも」と、遠方からの運命的な誘いに感謝しきりだ。 現在34歳。女優としても人間としても幅は広がった。だからこそ胸を張って引き受けることができた、8年ぶりのドラマ主演。このニュースはさまざまなメディアで大きく取り上げられた。「もうプレッシャー!」とその反響に戸惑いつつも「スタッフ、キャストも素晴らしく、作品も面白いです。その良さをそのまま体現しなければいけない。視聴者の方には絶対に楽しんでもらえる作品になると思っているので、とにかく一所懸命、全力で撮影期間を走り抜けたいです」。そう話す声には、迷いや不安は微塵も感じられなかった。 (取材・文/石井隼人) ■奥菜恵(おきな・めぐみ) 1979年8月6日、広島県出身。6月30日スタートのフジテレビ系連続ドラマ「碧の海~LONG SUMMER~」(月~金曜13:30 東海テレビ制作)では、沖縄で出会った貧しい少年と社長令嬢の15年にもわたる純愛物語を展開させる。32歳のヒロイン・舞を奥菜、その17歳の頃をNMB48の城恵理子が演じる。相手役となる32歳の航太を徳山秀典、その17歳の頃を犬飼貴丈が務める。