大規模火災や壊滅的な住宅被害 「大津波警報」で消火活動出来ず 全国平均を下回る「耐震化率」と「高齢化」の関係は 能登半島地震の被害の要因を解説
大きな被害をもたらした1日の能登半島地震。石川県輪島市では観光名所でもある「朝市通り」で大規模な火災が発生しました。 また、珠洲市では壊滅的な住宅への被害が出ています。 ABCテレビ災害担当・座波貴紀デスクの解説です。
輪島市の火災はなぜ燃え広がってしまったのか?
輪島市の朝市通りでは地震発生当日、大規模な火災が発生し、200棟以上が燃えました。焼失面積は約4000平方メートルにのぼります。 被害が拡大した原因は大きく2つあると考えられます。 1つ目は、地震発生後すぐに大津波警報と津波警報が発表されたことです。警報が出ると、すぐに海沿いから離れなければなりません。輪島市の火災現場は海から近く、警報が解除されるまでの間は救助活動や消火活動を進めることができなかったと考えられます。 2つ目は、地震の影響で輪島市に至るまでの道では土砂崩れや路面のひび割れの箇所が多く、大型車両が通れなかったことです。近隣の自治体の力が借りられず、救助要請も応援要請もできない中で、延焼をすぐに食い止めることができなかったのではないでしょうか。
珠洲市は"壊滅的" ここまで住宅に被害が出た理由は?
珠洲市でも大変な被害が出ました。市内6000世帯のうち多くが全壊またはほぼ全壊と壊滅的な状態です。 被害が拡大してしまった要因の一つは、「耐震化率」だと考えられます。 2020年のデータで、全国平均で87%ある建物の耐震化率が、珠洲市では51%でした。半数近くの建物が耐震基準を満たしていなかったことになります。 珠洲市は65歳以上の割合が51・7%と石川県内で最高です。木造建築の古い建物に長く住み続けている人が多かったと予想されます。 2020年の国のデータでは、住まいを耐震化していない理由を尋ねたところ「費用負担が大きいこと」「古い家にお金をかけたくない」という回答が44%ありました。「地方の古い家を今さら耐震化しても…」という考えの結果、今回の被害につながったといえるかもしれません。 地震後、珠洲市では救助要請も至るところで出ていて、救助が追いついていません。