遺族「思いが伝わった」涙浮かべ感謝の言葉 那須雪崩事故・3被告に実刑 一審判決で確定望む
「裁判所に思いが伝わった」-。生徒7人と教諭1人が死亡した那須雪崩事故で被告3人に禁錮2年の判決が言い渡されたことを受け、4遺族が30日、県庁記者クラブで記者会見した。望み続けた実刑と、事故を「人災」とした判決に、遺族たちは時折涙を浮かべながら安堵(あんど)や感謝の言葉を口にした。学校活動における安全確保へ「警鐘を鳴らした」とも受け止め、再発防止につながることを願う。無罪主張を続けた3被告には「真摯に受け止め、刑に服して」と一審での判決確定を望んだ。 「これほどまで思いが通じたと思った瞬間はない。裁判所は十分に報いてくれた」。遺族会の共同代表として事故が「人災だ」と訴え続けてきた、奥公輝(おくまさき)さん=当時(16)=の父勝(まさる)さん(52)。「相当重い不注意による人災」と判決文が読み上げられると、込み上げる涙を抑えられなかったという。部活動での安全確保も願ってきただけに「画期的な判決だ」と評価した。 判決公判には被害者参加制度で6遺族が入廷し、検察官の後ろから判決に聞き入った。実刑の言い渡しや「人災」の認定。強く求めてきた結果が実現した瞬間、遺族らはハンカチで顔を覆ったり、メモを取る手を止めたりして目頭を押さえた。 佐藤宏祐(さとうこうすけ)さん=当時(16)=の父政充(まさみつ)さん(55)は、隣席の遺族と顔を見合わせて何度もうなずいた。帰宅したら宏祐さんの仏前に「一区切り」と報告するつもりといい、「長い7年間だった」と振り返った。 高瀬淳生(たかせあつき)さん=当時(16)=の母晶子(あきこ)さん(57)は「(捜査した)警察、起訴してくれた検察、今日の判決。非常にありがたい」と声を震わせて感謝した。生前、淳生さんと約束していたという公認心理師の資格を取得した晶子さん。「これからは世の中の役に立ちたい」と希望も口にした。 毛塚優甫(けつかゆうすけ)さん=当時(29)=の父辰幸(たつゆき)さん(72)は、優甫さんが生前使っていた車で宇都宮地裁を訪れた。「少しは無念を晴らせたと思う」と表情を緩ませながらも、「息子にはあの日以来会えない。3被告には8人の命を奪ったことを自覚し、心から反省してほしい」と強調した。 判決は控訴された場合は確定しない。被告らに対し、高瀬さんは「裁判所が下した決断を真摯に受け止め、刑に服してもらいたい」、佐藤さんは「罪を償ってから真の意味で謝罪してほしい」と語った。