亀梨和也が誘拐犯に 現場での積極的なコミュニケーションも「“クールで近寄りがたい”イメージがいまだにあるみたいで…」<ゲームの名は誘拐>
「Destiny」(テレビ朝日系)での熱演でも話題の亀梨和也主演最新作、連続ドラマW 東野圭吾「ゲームの名は誘拐」(WOWOWプライム)が、6月9日(日)夜10:00に放送・配信スタート。本作は、東野圭吾の同名小説を原作とした衝撃のノンストップサスペンス。亀梨が演じるのは、頭脳明晰な誘拐犯・佐久間駿介。広告代理店のエースプランナーとして活躍していた佐久間が大型プロジェクトから引きずり降ろされたことをきっかけに、復讐のため、クライアント企業の社長の娘・樹理と共謀して狂言誘拐を計画する。今回WEBザテレビジョンでは、主演の亀梨に作品への思いや現場での振る舞いについて話を聞いた。 【写真】寄り添い合う二人…誘拐犯・佐久間(亀梨和也)と樹理(見上愛) ■「監督含め制作チームの皆さんがすごく親身に寄り添ってくださった」 ――完成した映像をご覧になって、率直なご感想はいかがでしたか? すごく面白かったです。今回、WOWOWさんには「連続ドラマW 正体」(2022年、以下「正体」)以来の出演でしたが、「正体」のとき同様、衣装合わせから髪型ひとつにしても、キャラクターづくりをとにかくこだわらせていただきました。当初用意してくださっていた車を、ああでもないこうでもないと相談をして変更したり、もともと予定になかったサングラスの使用を許可してもらったり。監督含め制作チームの皆さんがすごく親身に寄り添ってくださったので、初日から佐久間というキャラクターにすごくスムーズに入れたと思っています。改めて、そんな環境を作ってくださったことに感謝していますね。 ――本作主役で誘拐犯の佐久間を演じるうえで特に意識したことはありますか? 原作や台本を読んだときに濃密なストーリーのなかの壮大さをすごく感じて、だからこそ、映像としてどうキャラクターに落とし込んでいくか難しくて。佐久間でいうと、同じ言葉をかけられても、十人十色、人によって感じ方が違ったりするわけじゃないですか。ある人にとっては何ともない一言でも、ある人にとってはカチンとくるような一言の場合もあるみたいな。そんな一般常識には収まらない、佐久間というひとりの人間としてのプライド。そしてそれが傷つけられたときの行動や決断を、映像で説得力を持たせて表現ができるかを考えることに時間をかけました。 ■「人間としての弱さを自分自身も持ち合わせているなと考えることはあります」 ――広告代理店のエースプランナー役ということで、その立ち振る舞いなど、実際に参考にされた方などはいますか? 話の仕方や所作を100%真似するためではなく、ビジュアルや雰囲気を全体に共有するためモデルにさせてもらった方はいますね。実在する広告代理店の方の名前を出させてもらったりしながら、みんなで共通のイメージを構築していきました。 ――大きな身振り手振りもイメージの一つでしょうか? そうですね、意識的に「手」は使っていましたね。目の動きや顔全体の表情で伝えられるものもあるんですが、より具体的に感情を表現するのに、身振り手振りのボディランゲージを有効的に使いました。やりすぎないように…と気を付けながら、タイトルにもあるように誘拐をゲームに捉える本作で、 “ゲーム”=“手を使う作業”という部分でも面白くリンクしていただけたらいいなと。大々的に「手を意識していて~」と自分から話すつもりはなかったのですが(笑)、キャラクターづくりの裏テーマとして「手」というのはキーワードには持っていました。 ――作中、佐久間は理不尽にもプロジェクトから外され、プライドが傷つけられたことで狂言誘拐を実行しますが、亀梨さんご自身はその心理を理解できますか? プライドの問題かどうかはわからないのですが、人って、自分では計り知れない側面があるよなっていう恐怖感は持っているんです。例えば、目の前に自分のものではないご飯が一膳あったとして。1週間は我慢できても1か月くらい何も食べていない状態だったら、1粒2粒は絶対食べちゃうよな…みたいな。「絶対に手を出さないよ」とは言い切れない、そんな人間としての弱さを自分自身も持ち合わせているなと考えることはありますね。やっぱり思いがけない形で追い込まれているときって、自分が思う本当の自分ではなくなっていて、通常の立ち振る舞いができなくなっている。本作の佐久間は、やっと掴んだ立場を死守するために狂言誘拐を行いますが、物語が進むにつれて、自分以外の守るべきものが生まれてくる展開になっています。 ■現場でのコミュニケーションも「何をやるにしても、共同作業をちゃんと楽しみたいなと」 ――共演されている樹理役の見上愛さんが亀梨さんのことを「お茶目なところもある」とコメントされていますが、現場ではどのようなやりとりがあったのでしょうか? お茶目…(笑)。僕も38歳になりまして、20代の俳優さんにとっては、今の印象というよりは彼・彼女らが学生の頃に見ていた僕の印象が強いんですよね。だから、「クールで近寄りがたいイメージ」がいまだにあるみたいで。実際、全然無口ではないですし、ボケたがりだったりもするんですけど、そういう側面があんまり届いていないことを実感しました(笑)。 ――そんな印象が変わるほどに、見上さん含め現場の方々とお話をされていたんですね。 座長という立場で入らせていただく現場では、お芝居以外にもある程度方向性を僕がちゃんと示さないといけないという意識があって。今回だと特に、見上さんとの関係構築の部分で、第2話までにどこまで彼女との関係値を持っていくことができるかが最大のテーマだったので、お互い「初めまして」のなか、早い段階で「ご飯行かない?」ってお誘いしたんです。もちろんマネージャーさんとかも含めてですよ(笑)。そういうことも経て、結果としていいコミュニケーションが取れたなと思っています。 ――現場でのコミュニケーションがよりよい結果に結びつくと思うようになったのは、いつ頃からですか? 近年強くなってきているのかなと思いますね。作品や現場にもよるとは思うのですが、 基本的には求めていただいたことに対してどう返せるか、というのがスタンスとしてあるんですよ。自分がどう表現したいか、どう思われたいかということよりも、何を求めていただいてるのかということをまずはちゃんと理解して、自分のなかに落とし込みたいみたいな。若い頃は、浅さゆえ、「これがいい!」というものに対しての謎の自信が今以上にあって、それに固執していたんですよね。だけど年々、何かを構築していくときに、より多くの視点を持ちたいとか、より多くの意見を取り入れたいと思うようになってきて。何をやるにしても、共同作業をちゃんと楽しみたいなと思っています。 ――ありがとうございました!