ブラジルで「X禁止」の可能性、同国とマスクの対立激化
イーロン・マスクが所有するX(旧ツイッター)が、ブラジルでの禁止措置に直面している。複数のメディアによると、同社がブラジルの最高裁判事の命令に従うことを拒否したため、現地時間(以下同じ)8月30日にプラットフォームの停止が命じられた。これにより、数千万人のユーザーに影響を与える同国内全域での閉鎖が現実味を帯びてきた。 ワシントン・ポスト紙によると、ブラジルのアレシャンドレ・デ・モラエス判事による停止命令は、ブラジルでただちにXを閉鎖させるものではない。この命令は、マスクが最近数週間にわたって複数の法的争いをめぐり、同判事を繰り返し攻撃してきたことを受けてのものだ。 Xのグローバル政府関係部門は8月29日、モラエス判事が禁止措置を命じると予想していると述べたが、その理由として、判事の政治的反対者を検閲するとされる法的命令にXが従わなかったことを挙げている。同部門は「違法な命令には秘密裏に従わない」と強調し、透明性のためにモラエス判事の要求や関連文書を公開する意向を示した。 実際、Xは8月初めにも同様の行動を取っている。その際には、モラエス判事が出した命令を公然と批判した。この命令は、「デジタル民兵(digital militias、ネット上で組織的に政治的活動する民間組織のこと)」と呼ばれる勢力による虚偽情報の拡散に関する政府の調査の一環だった。具体的には、Xに対してこの調査に関連する特定のアカウントをブロックするよう求めるものだった。 AP通信が市場調査グループEmarketerの記事を引用して伝えたところによると、Xが禁止された場合、少なくとも月に一度以上はXを利用するブラジル人約4000万人に影響がおよぶという。 Xのブラジル人ユーザーがいなくなると、同社が主張する月間ユーザー数5億7000万人のおよそ7%が失われることになる。 禁止措置が、同社が世界で2億5000万人と主張するデイリーユーザー数をどの程度減少させるかは不明だ。 Xはフォーブスのコメント要請にすぐには応じなかった。