【大分】「湯けむりライドシェア」スタート 一方で天ヶ瀬では…
大分朝日放送
別府市民らが運転手となって乗用車で市内を回る「ライドシェア」の実証実験が始まりました。 平井アナウンサー 「26日から湯けむりライドシェアの実証実験が始まりました」 別府市が、タクシー不足やバスの減便を背景に、地域の新たな交通手段として導入を検討している「湯けむりライドシェア」。 運転手不足が課題となる中、タクシーなどの運転に必要な2種免許を持っていなくても研修を受ければドライバーになることができます。 別府市民など4人が、数日間、交通安全や救命についての講習を受けました。 ドライバー 小野和久さん 「研修を受けてとても役に立った。より安全に責任をもって運行する気持ちが増した」 路線バスの本数が少ない浜脇地区など南部エリアをコミュニティバスのように回ります。 26日から実証実験がスタートし、早速、44人の市民が利用しました。 利用者 「この地域は大通りまで出ればバスがあるんですけどタクシーを呼んでもなかなか来ない状態。(ライドシェアは)ここからスタートだから助かります」 「足をけがしたので会社の近くで止まるので乗ってみようかと。すごくいいと思います。 もっと便数が増えたらいいのかなと」 客が6人~8人乗れる2台の乗用車で平日の午前8時から午後1時まで30分ごとに1日10便走ります。 利用料金は1回200円で、別府市は1年間の実証実験を経て本格導入するかどうかを検討します。 一方、同じく県内有数の観光地、日田市の天ヶ瀬温泉。駅前の乗り場にはタクシーの姿がありません。地元の旅館も頭を抱えています。 Ryokan天龍 大庭龍一さん 「(宿泊客の)駅への送迎はしているが、忙しい時は送迎もできないことがある。宿泊客が地域の観光をする時にも困る状況」 地域にとって重要な公共交通。 ライドシェアが始まった別府とは裏腹に、タクシーの姿が消えた天ヶ瀬。 なぜタクシーがいなくなったのか、空白状態を解決する方法はあるのか、解説していきます。 (江藤アナウンサー) ここからはフカボリです。タクシーの姿が無くなってしまった天ヶ瀬。 観光地でもありますし地元の方にとっても大きな問題です。 元々、天ヶ瀬では天瀬観光という会社がタクシー事業をしていて、地区内で5台のタクシーを運行していました。 しかし、2024年3月で事業から撤退してしまいました。この理由はなんだったのか。 一つは、4年前の豪雨による被害やコロナ禍により観光客数が減ってしまったこと。 そしてもう一つが地域住民の高齢化で利用者が減ってしまったことです。 天瀬観光の担当者は、「5年前、天ヶ瀬にもう一つあった会社のタクシー事業を引継ぐなど地域の交通を何とか守ろうとしてきたが、赤字が続き採算が取れなくなった」と話しています。 こうした理由でタクシーが無くなったわけですが、では現状はどうなっているのか。 いま天ヶ瀬地区からタクシーに乗りたい場合、日田の中心部から呼ぶと到着までに…およそ30分かかります。 さらに料金は…回送料金としておよそ3700円がかかります。 金額は会社や状況によって異なりますが、利用者には大きな負担ですよね。 日田市のタクシー会社・日田イサゴタクシーでは、「こうした到着時間や回送料金など利便性の問題を解消するために、タクシーを常駐させるかどうか検討をしているそうです。ただ、採算が取れるのかどうかなど慎重にリサーチが必要」と話していました。 地元からも不安の声が上がっています。 天ヶ瀬温泉で180年以上前から旅館を営む天龍は「タクシーがないと困る。天ヶ瀬の各旅館では送迎の回数や台数を増やすなどして対応している」ということです。 地域住民と観光客のどちらにとっても不便を感じる状況となっています。 日田市では、住民と一緒に今後の対策を考える会を設けるなどしています。 コロナ禍が明け、多くの観光客が訪れるようになった今だからこそ観光の復興と地元住民を守るためにライドシェアのような新しい形の対策が必要なのかもしれません。