<石見舞菜香>「【推しの子】」黒川あかね役 第1期“神回”の裏側 綱渡りのように集中 “アイ”高橋李依を研究
◇高橋李依の芝居の奥深さ
あかね役はやっぱり複雑だ。“神回”となった第1期の第七話「バズ」、あかねがアイを演じたシーンもあった。
「第一話のアイの資料をいただいて、研究しました。メディアに出ているアイ、子供たちに接するアイ、社長と接するアイは、声色も全然違ったんです。第七話では、アクアに『アイだ』と思わせないといけないし、アニメを見ている方にも『アイだ』と感じていただかないといけません。アクアに対して母の愛を見せつつ、アイドルモードの軽やかさもないとアイとは思ってもらえない。ただ軽やかなだけではアイではないですし、とにかくいろいろなアイをにじませないといけません。アイを演じられている高橋李依さんと音が違ってはいけないし、だからといって声まねでもない。難しいところで、ずっとアイの声を聞いて研究しました」
石見さんは、あかねのようにアイをプロファイリングした。
「研究は重ねたのですが、やっぱり難しかったです。李依さんは本当にすごい。記号化できないんです。ちょっとつかみどころのないのがアイの魅力でもあるのですが、本当になかなかつかめなくって。李依さんのアイだからこそこんなに難しかったんだと思います。李依さんがアイを演じると知った時から覚悟はしていたのですが、やはり自分としては収録している時、大丈夫だったかな?という気持ちが大きかったんです。なんといっても【推しの子】は作画がすごい作品ですし、とくに第七話はエンディングの入り方もすごかったので、トータルで盛り上がったんだと思ったりもして。李依さんのお芝居の奥深さは、研究している自分がよく分かっているので、もっと頑張りたかったな……という気持ちも正直ありました」
石見さんは自信がなかったようだが、X(ツイッター)では石見さんの名前がトレンド入りし、横槍さんが石見さんの演技を絶賛するなど大きな盛り上がりを見せた。
「その時は、私自身がまだ【推しの子】の現場に慣れていなかったのもあって、皆さんとあまりお話できていませんでしたが、放送後のラジオ番組で共演者の方とお話する機会があって、『アイでした!』と言っていただけたり、原作の先生が喜んでくださったり、見ていただいた皆さんにも届いたことがうれしかったです。皆さんに届くことがなにより大事だと思いますし、反省は自分の中で終わらせて、今はよかったと思っています」