イスラエルへミサイル・無人機攻撃を仕掛けたイラン、アイアンドームによる迎撃も「計算の内」
(国際ジャーナリスト・木村正人) ■ イラン国内からイスラエルを攻撃するのは初 [ロンドン発]イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)航空宇宙軍は4月13日、イラン国内からイスラエルへの大規模な自爆ドローン(無人航空機)とミサイルの攻撃を行った。イスラエルの空爆によりシリアで精鋭コッズ部隊の上級司令官を殺害されたことに対する報復だ。 【写真】イランが発射した、イスラエルの7歳の少女に重傷を負わせたとされるロケットブースターの残骸。イスラエルのアラド近郊 米シンクタンク「戦争研究所」のまとめによると、イスラエルは同月1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館につながる建物を空爆。IRGCの対外工作機関「コッズ部隊」の上級司令官モハマド・レザ・ザヘディ准将と部下数人を殺害した。 ザヘディ准将はレバノン、ヨルダン、シリア、パレスチナ自治区における「抵抗の枢軸」の作戦を指揮していた。空爆はイラン領土への攻撃と同じとしてイランはザヘディ准将の仇討ちを宣言。イスラエルは昨年12月にもダマスカス郊外でIRGCのラジ・ムサビ准将を殺害している。 イスラエル国防軍のダニエル・ハガリ報道官は「イスラエルは同盟国からの援助を得て、イランが発射した200機の自爆ドローンや、巡航ミサイル、弾道ミサイルの大半を迎撃した」と述べた。弾道ミサイルは120発だった。イランが同国からイスラエルを直接攻撃するのは初めてだ。
■ イランの攻撃は99%無力化された イスラエル、米国、英国、ヨルダンはイスラエル領空外でドローンとミサイルを迎撃した。米英が撃墜したドローンは100機以上。ウクライナ戦争におけるロシア軍の空爆と同じように、イランは自爆ドローンや巡航ミサイル、弾道ミサイルを織り交ぜた攻撃を試みたように見える。 しかし戦闘機やイスラエルの防空システム「アイアンドーム」の迎撃によりイランの攻撃は99%無力化され、到達した弾道ミサイルは数発程度だった。今のところ被害は、破片の落下で7歳の少女が重体となり、イスラエル南部の軍事施設が軽い損害を受けたという報告にとどまる。 「抵抗の枢軸」のレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラはゴラン高原にあるイスラエルのミサイル・大砲基地に向け自走式多連装ロケット砲カチューシャを発射したと発表した。イランに支援されたイラクの民兵組織もイスラエルを標的とした攻撃に参加した。 IRGC海軍は13日、ホルムズ海峡でイスラエルに関連するポルトガル船籍の商業船を拿捕した。イスラエルは、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の船舶攻撃を迂回するためヨルダン、サウジアラビア経由でアラブ首長国連邦(UAE)を結ぶ陸上ルートへの依存を強めている。