【イベントレポート】あの「デデデデ」声優で「初めて自分の声を褒めてあげられる」、幾田りらと舞台挨拶
アニメ映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章」の公開記念舞台挨拶が本日3月23日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、主演を務めた幾田りら(YOASOBI / ikura)、あの(ano)、アニメーションディレクターの黒川智之が登壇した。 【画像】幾田りらが声を当てる小山門出と、あのが声を当てるおんたん 浅野いにおのマンガをもとにした本作は、東京上空に巨大な宇宙船が突如襲来した世界を舞台にした“ディストピア青春日常譚”。絶望的に思えた異常事態も次第に日常へ溶け込んでいく中で、日々の青春を謳歌する少女たちの姿が描かれる。幾田が小山門出、あのが“おんたん”こと中川凰蘭に声を当てた。 黒川は足掛け6年の制作期間を振り返り「企画が立ち上がった当初は連載が終わってなくて。最後の展開が決まっていない状態でスタートしました。とにかく原作の情報量がものすごい。スマホの画面や書類の文字とか、いろんな情報が詰め込まれている。それをアニメーションの映像にどれだけ落とし込めるか。その取捨選択が大変。でも大変な作品は燃えるたちなので、やりがいがありました」と明かす。 原作者である浅野には仕事場へ挨拶に行った際に初めて会ったそうで「緊張しすぎていて、何を話したかほとんど覚えてない(笑)。でもきさくに対応していただいて」と述懐。今作で浅野はコンセプト会議、脚本開発、配役、アフレコ、作画など制作の最初から最後まで密接に関わる形となった。 幾田とあののアフレコに関して「声色はお任せ」だったそうだが、幾田は「ここはどういう背景でセリフを言っているのか?は監督をはじめスタッフの皆さんと、どのシーンでも必ず相談していて。ちょっとしたニュアンスを微調整しながら、助けていただきました」と回想。あのも「以下同文……」と話して幾田に同意しつつ、「基本的には自由に任せてくださって、すごくやりやすかった。右も左もわからない状態だったけど、自分なりの中川凰蘭を吹き込む気持ちで胸を張ってました」と振り返った。 幾田とあのの声を、黒川は「この作品において、お二方以外はあり得ない。最初の収録の第一声から完成されていた印象でした。アフレコを重ねていくに従って、ドラマも展開して、役と芝居がシンクロしていく。奇跡が生まれる瞬間を目撃するような、毎回そういう感動にあふれたアフレコだったと思います」と絶賛。中でもお気に入りは、門出とおんたんが取っ組み合いの喧嘩をする場面だ。別々に行われることも多い声の収録だが、このシーンは黒川の希望で幾田とあのが同時に収録に参加した。そして黒川が信頼するアニメーターが、2人の声に合わせる形で作画をしているという。黒川は「いわゆるプレスコというやり方です。とても力を入れていて。あそこの(絵の)お芝居は幾田さんとあのさんの声の芝居から出てきた取っ組み合い。前章の中でも一番好きなシーンです」と熱弁した。 ここは初めて2人が同時に収録したシーンであり、幾田は「満を持してという感じで。殴ったり蹴ったりのシーンなんですが、手を振りかざすときの呼吸とか、2人とも音楽をやっているからなのか、意外と最初からうまくできて」と述懐。あのも「ちょっと緊張感もあった中、相手が幾田さんだからうまくできた感覚。リズム感やタイミングは『せーの』でやっても合わないときもあるのに、呼吸、フィーリングがうまくいってうれしかった」と同意し、幾田は「喧嘩してるけど楽しかったよね」とほほえみかけた。 最後にあのは自分の声にコンプレックスがあること、その声には誹謗中傷もあることに触れつつ、「今回、声で選んでもらって。こうやって声で人の人生、ストーリーを描くことができて。『声がいいね』という反響を聞いて。(自分で)初めて声を褒めてあげられる。僕自身もすごく救われた。本当にこういう機会をいただけて光栄です」と吐露。幾田は「後章も“めちゃくちゃクソヤバい”展開になっているので、皆さんの中で熱くなっているものを再来月まで持ち続けていただいて、これからも一緒に楽しんでいけたら」と呼びかけ、舞台挨拶を締めくくった。 「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章」は全国で公開中。後章は5月24日に封切られる。 (c)浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee