その日まで走り続けます― 順次引退の115系車両 満喫する旅第1弾開催
「冬の115系満喫号の旅」に記者も同乗
しなの鉄道(上田市)は11日夜から12日朝にかけて115系車両でしなの鉄道線を走るツアー「冬の115系満喫号の旅」を行った。2028年までに順次引退する同車両関連のイベントを展開する「プロジェクト115」の第1弾。全国から鉄道ファンら70人余が集まり、10時間半ほどの夜の列車旅を楽しんだ。記者も列車に同乗し、その魅力を体感した。(浜田朝子) 車内で楽しむアイスも…
「引退の日まで115系と走り続けます。冬の信州と115系をゆっくりお楽しみください」。11日午後7時50分ごろ、しなの鉄道土屋智則社長(63)の車内アナウンスに乗客から拍手が起こる。赤とグレーの「しなの鉄道色」、緑とオレンジの「湘南色」を3両ずつ連結した列車が雪の舞う軽井沢駅を出発した。
同8時半ごろに到着した田中駅(東御市)で約1時間半停車。乗客たちは駅前の温泉健康複合施設で湯に漬かった。埼玉県白岡市の会社員、笠原孝一郎さん(40)は小学3年の長男、航希君(9)と車内で風呂上がりのアイスを味わった。「昔の電車も悪くないね」と航希君。孝一郎さんは「親子の思い出になりそう」とほほ笑んだ。
上田駅で折り返し同11時前に小諸駅(小諸市)に着くと、駅舎内の飲食店エキューブ・こもろが用意した豚汁やおにぎりが配られた。豚汁を食べた新潟市の20代介護職男性は、高校時代に通学で115系に乗っていた。「すごくいい企画。乗れるうちに乗っておきたい」
国内では数が減る115系
しなの鉄道が所有する115系は耐寒耐雪強化型で昭和50年代に製造。国内では数が減り全国から多くの鉄道ファンが訪れているという。「115系満喫号の旅」は18年に始まり、20年11月までに4回運行。約3年半ぶりの今回はファンの要望に応え初めて夜行運転した。軽井沢駅から上田駅、戸倉駅(千曲市)の間を2往復半。中心となって企画した運転士の平林敦さん(49)は「(飲食の手配など)地元の業者さんに快く協力してもらい、企画の独自性にもつながっている」と手応えを話す。