リトルブラックドレス、“生きた教材”MISIAから学び、人間としての「成長」詰め込んだ3年ぶり新アルバム
シンガー・ソングライターRYO(25)のソロプロジェクト・Little Black Dress(LBD)が、7日に「シティーポップ」をテーマにした新アルバム「SYNCHRONICITY POP」をリリースする。このほど、本紙の取材に応じ、3年ぶりのアルバムとなる今作に込めた思いを語った。(加茂 伸太郎) 思わず笑みがこぼれた。「浮世歌」以来となる3年ぶりのアルバムリリースに、LBDは「この数年、アーティストとしても、一人の人間としても、成長させて頂く機会が多かったので。待ちに待ったという感じです」と喜びをかみ締めた。 幼少期に母親が聴いていた歌謡曲に影響を受け、高校1年秋に地元・岡山のライブハウス、路上ライブで弾き語りの活動をスタート。2019年にデジタルシングル「双六/優しさが刺となる前に」でデビュー。ゲスの極み乙女・川谷絵音(35)のプロデュースをうけ、21年に「夏だらけのグライダー」でメジャーデビューした。 今作には、川谷作詞・作曲の「恥じらってグッバイ」、ライブで話題の「マロニエの花」、作詞に半年ほどを要した力作の「DRIVE OUR DREAMS」など8曲が収録された。 「恥じらってグッバイ」は2年ほど前に楽曲提供をうけ、リリースのタイミングを探っていた楽曲。「この間、3回録(と)り直しをしていて。最終的には1回目のテイクが採用されたんですが、2、3回とテイクを録ったからこそ新しい発見があって、より1回目のテイクが生きていると思います」 妥協せず納得したものを出したい―。シティーポップを知ろうと、シティーポップを代表するメロディメーカー・林哲司氏に会い、ひとり神奈川・葉山に足を運び、作詞合宿を実施した。 「杉山清貴&オメガドライブの『ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER』であれば、『マリーナ』『ホワイト・ディンギー』『キール』が歌詞に出てくるので、体感したくて。都会的で華やかなイメージの中にある孤独感を表現したり、肩の力を抜いた時に聴きたくなるような音楽を作ろうと決めました」 この数年、事務所先輩のMISIA(45)主催のライブに帯同し、多くの学びを得てきた。「そばでお勉強させていただくと、音楽には聴いてくださる方に寄り添うような力、笑顔にさせる力があるんだなって実感する。音楽の『向こう側』を意識して活動していきたいと強く感じました」 能登半島地震後、災害ボランティアに応募し、2月と4月に計4回、被災地でのボランティア活動に従事。2月にMISIAが石川・輪島市内で行った炊き出しにも同行した。「MISIAさんの姿を見て笑顔になり、涙される方たち。音楽の『向こう側』ってこれなんだなって感じた瞬間でした。私も音楽の力で皆さんに寄り添っていきたい、何かの力になれれば」 なかなか作品をリリースできない焦りもあって、24歳の頃、心身のバランスが不安定な時期もあった。だが、“最高の生きた教材”のMISIAの音楽に向き合う姿勢、立ち振る舞いを見て我に返った。 「MISIA先輩を間近で見させていただくと、夢に向かって(未来を)切り開けるんだって希望が持てる。自分次第で人生は変えられる。とにかく自分次第だなって。このアルバムができ上がって、自分でもこの先が楽しみです。周囲への感謝を忘れずに、頑張っていきたいです」 LBDは12、13日に「大好きな場所」という東京・恵比寿のブルーノート・プレイスで単独ライブを行う。「お客さんとの距離が近いので、コミュニケーションを取りやすい。オープンな空間で音楽を楽しめる。最高にハッピーですね」。単独ライブは22年10月以来1年8か月ぶりになるが、「新アルバムの楽曲たちが絶対にあう会場。もうワクワクしかないですね」と心待ちにした。 ◆Little Black Dress(リトル・ブラック・ドレス)1998年11月3日、岡山県出身。25歳。2016年上京。同年「MISIA CANDLE NIGHT」のオープニングアクトで話題に。19年デビュー。同年4月に「心に棲む鬼」リリース。今年7月20日には、東京・ビルボードライブ東京でシティーポップの名曲をカバーするライブイベント「CITY POP NIGHT」を開催する。
報知新聞社