手早くクレープを仕上げるPoPoの芝崎店長

　【恵庭】来年1月に道内から完全撤退する総合スーパー「イトーヨーカドー」のファストフード店「ポッポ」。道内全店の営業を終えたその店で買い物客や学生らに愛された人気商品の味を引き継ぐクレープ店が、市内で営業している。フレスポ恵み野内のクレープ店「PoPo（ポポ）」。2019年に閉店したイトーヨーカドー恵庭店で腕を振るっていた芝崎雄太店長（41）が、懐かしさたっぷりのメニューを作り続けている。 【動画】＜わくわく おたる水族館＞ペンギンに新しい仲間＊餌の食べ方覚えぐんぐん成長 　「チョコバナナですね、ありがとうございます」。9月中旬のある日の昼過ぎ。注文を受けた芝崎店長は熱した鉄板に生地を広げ、慣れた手つきでバナナと生クリーム、チョコレートを載せていく。注文からわずか1分ほどで、温かいクレープが客の手に渡った。 　PoPoはイトーヨーカドー恵庭店内のポッポの後継店として20年8月にオープン。旧店時代から一番人気というチョコバナナ（390円）など、約30種類のクレープを提供している。メロンや栗など期間限定メニューも豊富。今春からは、土日限定でたこ焼き（8個入り560円）も復活させた。 　芝崎店長の父豊さん（75）は、1982年のイトーヨーカドー恵庭店の開店直後から37年間、フランチャイズでポッポを経営していた。 　芝崎店長は高校時代から時折、店を手伝い、貨物船の乗組員を経て、10年ほど前に同店で働き始めた。スーパーの閉店に伴い、ポッポの店じまいに直面した。閉店準備を進めていた時、常連客から「ここのクレープは思い出の味」「どこかで続けてくれないか」との声が多く寄せられ、新店舗開業を決意した。 　ポッポのクレープは製粉業者が開発した専用の小麦粉を使っていた。試作を重ね、最も味が近かった原材料を選んだ。記憶に残る「あの味」を大切にする一方、新たに空知管内栗山町の養鶏場でとれた新鮮な卵を取り入れるなど「よりおいしくなっている」と胸を張る。