ドラフト候補の150キロ右腕・沼井伶穏(横浜隼人)を徹底分析! 夏初戦で見せた超破壊ストレート! アドゥワ 誠の高校時代を彷彿させる実戦力【24年夏・神奈川大会】
<第106回全国高校野球選手権神奈川大会:横浜隼人6-3鶴嶺>◇9日◇2回戦◇バッティングパレス相石スタジアムひらつか ◇【一覧】神奈川県 注目投手リスト 横浜隼人の150キロ右腕・沼井 伶穏投手(3年)が鶴嶺戦で夏の初登板をはたした。152球を投じて、3失点完投勝利。多数の球団スカウトが注目する中、粘り強い投球で勝利に貢献した。 186センチ82キロとすらりとした長身が目に付く大型右腕。ナイジェリア人の父、日本人の母を持つ。 まだ荒削りではあるが、ここぞという場面のストレートの爆発力は見事だった。投球フォームは走者がいないときでもセットポジション。右足をしっかりと上げてバランスを取り、左腕のグラブを斜めに掲げて、真っ向から振り下ろすオーバーハンド。下級生時にはもっとグラブを突き上げて投げていたので、安定感のある投球をするために試行錯誤していたのが伺える。
クセ球は狙っていない
ストレートは常時130キロ後半~145キロ。序盤3回まではストレート37球のうち、21球が140キロオーバーで、145キロが6球だった。 沼井のストレートは威力型。指先にしっかりとかかった145キロのストレートは簡単に飛ばせない破壊力があった。また、微妙に動くものが多い。クセ球がウリに見えるが、受ける山野井 寛大捕手(3年)は「調子が悪いときほどボールが動きます。バッテリーとして意図的に投げさせているものではないです」と否定する。 確かに145キロを計測した際のストレートは、クセ球ではなく、しっかりとキャッチャーミットに突き刺さる球質だった。時折、抜け球もあったため、被安打10本の結果になった。沼井は「調子は悪かったですが、粘り強く投げられて良かったです」と汗を拭った。 タイプとしては広島のアドゥワ 誠(松山聖陵)の高校時代を思い出す。140キロ台の直球、カーブを器用に投げ分けて、ゴロを打たせるのが得意だった。沼井も勝負所ではギアを上げて、ねじ伏せる投球を見せる一方、大きく曲がるカーブやスライダーを投げわけ、うまく打たせる投球もできていた。下級生時代の投球と比べるとだいぶ実戦的になった。まだまだストレートも速くなる可能性を持っている。 ドラフト本指名で勝負できるレベルに達しているのではないか。さらにレベルが上がる3回戦以降でも好投を見せて、評価を高めていきたい。