幽霊が共食い!? 死ぬ寸前に若返る「摩訶不思議すぎる」クラゲの世界【へんないきもの・クラゲ編 vol.02】
人間にとっては不思議だけれど、自然界のなかで美しくたくましく生きるいきものたちを紹介するシリーズ、クラゲ編です。 【写真】摩訶不思議なクラゲたちを見る(全7枚) さまざまな生物がいる中でも、クラゲは身近でありながら、その生態は知らないこともいっぱい。クラゲを食べるクラゲもいれば、不老不死と噂されるクラゲもいるとか。 その実態について、クラゲの展示が約80種類だという鶴岡市立加茂水族館飼育課係長・池田周平さんに聞きました。
とにかく生き方が多種多様なクラゲたち
「私がクラゲの力にとりつかれたのは、彼らのもつ多様な生き方です。飼育すればするほど、疑問点や不思議な一面が見えてきます」と池田さん。 毎年のように新しい発見が多く見つかり、同時に彼らの多様性の凄さを感じるそうです。 「クラゲは見てるだけで癒されますし、動きがおもしろいクラゲがたくさんいますが、クラゲがどのように生まれてどんな生活をしているなど、クラゲの神秘さもぜひ知っていただきたいですね」(池田さん)。
成長すると50㎝以上ほどに!【ユウレイクラゲ】
多様で不思議なクラゲの中には、クラゲでありながらクラゲを食べる種類もいるのだとか。その一種がユウレイクラゲです。 「ユウレイクラゲは成長すると傘径50cmくらいになります。体色は白く、初夏~秋に本州中部以南に出現しますよ」と池田さん。 傘の大きさが50㎝という大型のクラゲで、英名もGhost jellyfish。海に漂う白い姿はまさに幽霊のようです。
クラゲの餌がクラゲなんてなんとも不思議
「ユウレイクラゲの傘から長い触手が伸びており、その中に毒針の入った刺胞がたくさんあります。触手で獲物を捕まえると縮めて大きな口腕に運んでいきます。このユウレイクラゲはクラゲを食べるクラゲであり、当館では弱ってしまったり、傷ついてしまったりしたミズクラゲを餌として与えているんですよ」(池田さん)。 基本的にはユウレイクラゲ同士では捕食し合うことはせず、違う種類のクラゲをいただきます。 「共食いのように聞こえますが、人間が同じ哺乳動物である牛や豚を食べることと同じなんんです」(池田さん)。 食べることは生きること。ユウレイクラゲも懸命に自然界で生きているということなんですね。