小中学生の心の不調を見える化…毎日の「こころの温度計」と月1回の「こころの定期健診」で分析
横浜市教育委員会は、小中学生の心の変化をデータで把握し、ケアにつなげる取り組みを市立大と共同で始めた。児童生徒が日々入力した心の状態を市立大が分析し、不調の度合いによっては受診を助言する。市内のモデル校2校で試行が始まり、来年度以降の拡大を目指す。 【写真】なるほど!…心の状態のデータ収集と「見える化」のイメージ
市は6月以降、児童生徒に1人1台配られている端末を活用した「健康観察」に取り組んできた。「こころの様子」を5段階で入力してもらい、9~10月には市内483校の児童生徒約26万人から約500万件のデータを収集した。
試行が始まったモデル校では、端末をアップデートし、心の状態を細かく捉える機能を追加した。毎日入力する「こころの温度計」では、今の状態を0~100で入力。月1回の「こころの定期健診」では、「普段楽しんでいた活動に対する興味、楽しみを感じられなくなったかどうか」の問いに「全くない」「数日」などの選択肢から回答する。
こうしたデータを蓄積し、「見える化」することで子供らの心の不調を早期発見し、相談に乗ったり、精神科医などの受診を促したりする。市によると、データで子供の心の変化を把握し、外部機関と連携して不調の軽減に取り組む例は日本で初めてという。
11月21日には、市教委と市立大が共同研究契約を締結するとともに、市内の教員らが取り組みについて意見交換した。小田中学校(横浜市金沢区)の太田有希乃教諭は「感情が細分化されることで、子供の状態がより分かる」と期待感を示す一方で、「子供が自己評価した数字だけで、状態を見極めるのは難しい」との声もあった。
市教委は、モデル校の獅子ヶ谷小(鶴見区)、瀬谷中(瀬谷区)や市立大と意見交換を続け、来年度以降の拡大を目指していく。