「ハードル高い」維新、4月から高校無償化提案も自民難色 7年度予算案成立へ一致点模索
自民、公明、日本維新の会の3党は10日、教育無償化に関する3回目の政策協議を国会内で開いた。維新が、今年4月から所得制限なしで高校授業料無償化を実施するよう提案したのに対し、自民は「ハードルが高い」と難色を示した。維新は、高校授業料無償化実現を令和7年度予算案への賛否を決める判断材料の一つとしており、一致点を見いだせるかが焦点となる。 ■「物理的に無理」の声 維新は協議で、教育無償化の段階的な実施に向けた工程表を提示した。工程表では、今年4月からの高校授業料無償化のほか、0~2歳児の保育料と学校給食の無償化は来年4月から実施し、大学を含む高等教育の無償化についても早期に実現するとした。高校授業料の無償化に必要な予算は約6千億円と見積もり、財源は行財政改革などで捻出するとした。 維新の提案に対し、自民実務者の柴山昌彦元文部科学相は協議後、記者団に「率直に言って極めてハードルは高いと感じている」と述べた。4月から高校授業料を無償化するには、すでに閣議決定している7年度予算案の修正や法改正が必要になると説明した。自民関係者も「物理的に無理だ。学校も保護者も対応できない」と維新の提案に首をかしげる。 ■協議の行方は不透明 財源についても維新は行財政改革のほか、基金や外国為替資金特別会計の活用など複数の案を示したが、具体的な検討は自公側に委ねた。柴山氏は「財務当局としっかりと検証しなければいけない」と慎重姿勢を示す。 自公は協議を通じて維新との関係を深め、今月召集の通常国会で審議する7年度予算案成立への協力を得たい考えだ。3党は、2月中旬をめどに一定の結論を得ると申し合わせているが、協議の行方は不透明だ。維新実務者の金子道仁参院議員は「真摯(しんし)に協議を続け、着地点を見いだす」と強調した。 維新は昨年12月、自公と教育無償化に関する政策協議の場を設置することで合意し、先の臨時国会で6年度補正予算案に賛成した。今後、協議が行き詰まれば維新は7年度予算案の反対に回り、石破茂首相の政権運営に大きな影響を及ぼす可能性がある。 少数与党の自公は7年度予算案の今年度内成立を期すため、国民民主とも所得税が発生する「年収103万円の壁」の引き上げを巡り政策協議を進めるが、先行きは見通せていない。自民にとっては維新、国民民主の両にらみだが、いずれも引き続き難しい対応を迫られることになる。