上海の王さん満点合格 加賀友禅検定初級 作品の意匠に引かれ受験
●「将来は中国で魅力発信」 中国・上海在住の王爽潔(ワンシャンジェ)さん(39)が、2月に金沢で初開催された加賀友禅検定(北國新聞社特別協力)の初級に満点で合格した。作品の意匠に引かれて受験を決め、日本から取り寄せた教本で歴史や特徴などを学んだ。合格者143人のうち唯一の外国籍で、満点合格21人の一人に名を連ねた。来年は中級に挑戦する予定で「将来は中国で加賀友禅の魅力を発信していきたい」と意気込んでいる。 ●教本取り寄せ勉強 王さんは上海の国立大学・復旦大学の研究所で、生物学などを研究している。来日は8回を数える親日家で、好きな作家は芥川龍之介。日本語は4年かけて独学で習得した。 趣味でイラストを描くため和服のことを調べていたところ加賀友禅を見つけ、作家の個性が反映される作品の意匠に魅了された。「必ず金沢へ行って自分の目で見てみたい」と憧れを抱く中、昨年7月、雑誌「美しいキモノ」で、加賀友禅検定の存在を知り、迷わず受験を決めた。 同10月から研究の傍ら、週に2~3時間勉強し、2月の検定では全50問を正解して見事合格した。 金沢を訪れたのは検定の時が初めてで、加賀友禅を間近に鑑賞し「心が震えるくらい美しかった」と語る。5月18日にはホテル日航金沢で開かれた合格祝賀パーティーに出席し、他の合格者や作家と交流して思いやりやおもてなしの心にも感動したという。 検定は業界の盛り上げにつなげようと加賀友禅文化協会と、加賀友禅大使でつくる「加賀友禅omotenashiの会」が主催した。加賀友禅大使の塚谷彩子さんは「王さんの受験が海外との架け橋や発信のきっかけになればうれしい」と期待を寄せる。 王さんは「今回の合格は運が良かったからで皆さんのおかげ。教本を中国語に訳せるくらい勉強したい」と目を輝かせた。