最も過激な日本の「R指定」青春映画は? 絶望感のある邦画(1)痛々しい…身体改造にのめり込む少女の運命は?
青春映画といえば、キラキラした美女とイケメンがキャッキャウフフする光景を思い浮かべる方もいるだろう。しかし、一皮剥けば、そこには欲望と劣等感にまみれた思春期特有のカオスが澱のようにたまっている。今回は、R指定を受けた青春映画をセレクト。体液の匂いでむせ返るようなを作品を5本紹介する。第1回。(文:編集部)
『蛇にピアス』(2008)R-15指定
監督:蜷川幸雄 原作:金原ひとみ 脚本:宮脇卓也、蜷川幸雄 出演:吉高由里子、高良健吾、ARATA 【作品内容】 渋谷を徘徊する19歳の少女ルイ(吉高由里子)は、ある日、偶然立ち寄ったクラブで、蛇のように割れたスプリット・タンを持つ青年アマ(高良健吾)と出会い、「身体改造をしてみないか」と誘われる。 後日。ルイは、アマに連れて行かれた妖しげな店で、全身に刺青を施し、顔じゅうにピアスのある店長シバ(井浦新)に邂逅。スプリット・タンにするべく、舌ピアスをあけてもらう。 【注目ポイント】 2024年の大河ドラマ『光る君へ』で主演を務めた吉高由里子。そんな彼女の振り切った演技が見られる作品が、この『蛇のピアス』だ。 原作は、綿谷りさとの芥川賞W受賞が大きな話題を呼んだ金原ひとみの同名小説。監督は日本を代表する舞台演出家蜷川幸雄で、共演には高良健吾やARATA(現:井浦新)ら、実力派が名を連ねる。 原作者である金原の「実写化したい」と鶴の一声で制作が決まった本作。公開当時は、映画初主演となる吉高の大胆なベッドシーンや、観客に委ねるストーリー展開が大きな話題を呼んだ。 そんな本作を語る上で欠かせないテーマが、「身体改造」だ。自身の生に意義を見出せない彼女は、「スプリット・タンって知ってる?」の一言をきっかけに、身体改造の魅力に取り憑かれていく。痛みを通してしか自身の生の輪郭を確認できないルイ。その姿は、文字通りあまりにも痛々しい。 なお、原作者の金原は、小学生の時に不登校になり、以来リストカットを繰り返していたという。そう考えると主人公ルイは、金原の分身といってもよいかもしれない。 (文・編集部)
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