6月の高校野球は「愛知招待試合」が面白い! 清宮・麟太郎・大阪桐蔭カルテット…スター選手、強豪校が毎年参加する名イベント【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.22』】
2021年 東海大相模
センバツ優勝の東海大相模が登場。一番盛り上がったのはエースの石田 隼都投手(巨人)と畔柳 亨丞投手(日本ハム)の対決でした。石田投手は常時135キロ~141キロと決して速くなかったですが、カーブ、スライダー、チェンジアップを丁寧に投げ分け、3回無失点の好投。門馬 敬治監督は 「あえて石田には『畔柳が投げるぞ!』と話していて、意識してスピードを出すのか、それとも勝ちに徹することができるのか、見ていましたが、スピードを意識せずに投げられて、ナイスピッチングだったと思います」とエースの投球をたたえていた。 畔柳投手はセンバツの連投でしばらくノースロー時期があり、招待試合の近くになって実戦復帰したばかりでした。最速150キロ、平均球速147キロと剛速球連発で2回無失点の好投。伸び上がるようなストレートは衝撃的でした。 東海大相模の選手たちが随所にレベルの高いプレーを見せていましたが、選手のパフォーマンスについては黒柳投手の投球が一番印象に残りました。
2022年 天理
センバツ出場の天理が登場し、大型遊撃手・戸井 零士内野手(阪神)が攻守でハイレベルなプレーを披露していました。力強い打撃に、流れるような守備でファンを沸かせていましたが、戸井選手擁する天理打線に対抗心をむき出しにしていたのが享栄の2年生左腕・東松 快征投手(オリックス)でした。5回1失点5奪三振の力投で、140キロ中盤の速球は魅力的でした。1年秋に投球練習を見ていて、当時は130キロ後半と聞いていたので、半年間でこんなに速くなるのかと驚きました。 試合後、勝ち気なところや、同学年だった大阪桐蔭の前田 悠伍投手(ソフトバンク)にライバル意識を全面に出していた東松投手を見て、最後の夏で追いかけていこうと思いました。それだけ魅力ある投球をしていました。
2023年 花巻東
すでに高校通算本塁打を塗り替えていた佐々木 麟太郎内野手(スタンフォード大)が登場しました。東邦戦の4回裏にソロ、6回裏に3ランを放ち、8回の第4打席には左中間を破る逆転の適時二塁打を放ち、計5打点の活躍。さらに愛工大名電戦でもレフトへ場外弾を放ちます。2試合で3本塁打。そして翌日の至学館戦でも本塁打を放ちます。招待試合で4本塁打を打ったのは、2017年の清宮選手以来の快挙でした。 打席に立つ度にスタンドは大きな拍手。そして本塁打を打つと大歓声。この時は佐々木選手は今年のドラフトの目玉になるのは間違いないと思っていました。現在はスタンフォード大に進学しましたが、どの舞台でも大きな本塁打を放ってファンを魅了してほしいと思います。 招待試合は招待校の選手が主役になることもあれば、愛知の学校の選手たちが主役になることもあります。毎年、拮抗した勝負になるので、面白い。さらにドラフト上位候補として注目される逸材が登場するため、必ず足を運ぶイベントとなっており、多数のスカウトも訪れています。 今年は報徳学園の今朝丸 裕喜投手と豊川のモイセエフ・ニキータ外野手との対決がありました。この2人がプロに進んで活躍することになれば、いずれこの対決が語り継がれると思います。 来年以降もぜひ開催されてほしいですし、新たなスターが生まれることを期待しています。