「病気や障がいある人の力に」 難病ALSを患う男性、訪問看護事業へ挑戦 沖縄・糸満市で7月開業予定
全身の筋肉が徐々に萎縮し、体が動かせなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」を患う眞榮田純義さん(29)=沖縄県南城市=は、友人で看護師の佐川かんなさん(29)=糸満市=と共に、難病の患者や医療的ケアが必要な小児が利用できる訪問看護事業の立ち上げ準備を進めている。「病気や障がいがある人、その家族が安心して生活できるよう力になりたい」との思いから今年7月、2人の出身地の糸満市に開業を予定。日常生活の支援や医療的ケア、外出時の看護などを行う。(社会部・當銘悠) ALSは厚生労働省指定の難病で、感覚や知能ははっきりしたまま、全身の筋肉が徐々に動かなくなる。県内では100人近くの患者がいるとみられている。 眞榮田さんが体の異変を感じたのは26歳の頃。利き手の右手の親指に力が入りづらい感覚があった。その後、日常生活での転倒が多くなるなど気がかりなことが増え、27歳の時にALSの診断を受けた。 告げられたのは、人工呼吸器を付けない場合の余命は3~5年、将来的には寝たきりの生活になること。その時の心境を「そこまで悲観的になることもなく、これから何をしようかなとプラスに捉えていた」と振り返る。 診断された日の夜、県内外に住む幼なじみに電話で病気を報告。2月17日に糸満市内で行われた講演会では幼なじみと対談し「彼らがいたから病気が分かった後も前向きになれた。かけがえのない存在」と感謝を伝えた。 訪問看護事業への挑戦を決めたのは「家族に負担をかけたくない」との思いからだ。「看護を第三者にお願いすることで、家族や友人と健康だった時と変わらない楽しい時間を過ごすことができる」と考えた。 事業では眞榮田さんが経営管理を担い、東京で小児外科・小児科病棟で急性期看護を学んできた佐川さんが現場管理を担う計画だ。 眞榮田さんは現在、基本は車いすで移動し、家の中では手すりを使いながら歩くという。最近は車の運転をやめ、ベッドから起き上がるのも介助が必要になった。「僕は寂しがり屋で、一人では何もできない。彼女や家族、友人たちがいて僕を信じてサポートしてくれる」と前を向く。周囲の存在を原動力に、講演会活動にも取り組んでいる。 「病気がある人や支えている人に夢や希望を与えたい。乗り越えられない壁はないというのを見せていきたい。そんな僕を見て勇気をもらった人を増やしていければ、それに越した幸せはない」と語った。