サイロ化された組織で起こり得る「データのバイアス」とは? 「RevOps」が経営判断にもたらす信頼性
例えば、マーケティング活動のデータを扱うMOpsでは、キャンペーンの効果を説明する際に、ある特定のキャンペーンの成功を際立たせるようなデータを提示したり、営業活動に関するデータを扱うSalesOpsでは、フォーキャスト(業績予測)を誇張して実際の状況よりも収益を大きく見込めるかのようなデータを提示してしまったりします。 フィールド部門とは別にオペレーション機能を持つRevOpsがあることで、データを扱う側の意図や解釈に左右されず、経営判断にとって信頼性が担保された価値あるデータになるのです。 ■ RevOpsとファイナンスの関係 RevOps組織は、収益や事業成長に向けた舵取りにおいて重要な役割を果たします。そして、ファイナンス部門とも大きく関連します。RevOpsがレベニュープロセスの効率化や営業やカスタマーサクセスによる収益に影響する数字の予測やインセンティブ制度設計などの活動を行うのに対して、ファイナンス部門は企業の財務に関わるリソースの管理、保護、最適化を担います。 つまり、RevOpsは収益成長を促進し、ファイナンス部門はその結果としての収益を管理します。RevOpsが策定する戦略はファイナンス部門の財務データに影響を与えますし、ファイナンス部門が策定する財務戦略や制約条件は、RevOpsの意思決定にも影響を与えるものです。 RevOpsが取り扱うデータやそこから導き出されるインサイトによって、ファイナンス部門は高い精度でフォーキャストを実施でき予算編成に役立てられます。また、市場の変化や動向の理解によって、自社製品の価格戦略にも影響を与え、競争力や収益性にも寄与します。持続的な成長を目指すために、RevOpsとファイナンス部門の協調関係はとても重要なことです。 ■ 戦略的意思決定を支援するRevOps データにもとづいた戦略的な意思決定はビジネスの基本です。だからこそ、RevOpsではデータそのものを単に提示するのではなく、データをどのように解釈しどのような仮説が立てられるのかを示すことが重要です。 先に述べたように各部門が異なるデータソースを持っている場合、断片的な情報から判断するとデータに矛盾が生じてしまう可能性があります。RevOpsが統合したデータを活用することで、顧客の行動パターンや優先事項を把握し、より効果的なビジネス戦略を策定できます。 これまで重複していたかもしれない無駄な作業を削減することにも有効です。各部門がそれぞれ管理していたシステムなどから得られるデータだけではなく、統合されたデータにアクセスできることで、情報の共有が容易になります。