東京五輪の男女マラソン札幌開催なら日本勢は不利?!
国際オリンピック委員会(IOC)は猛暑が懸念される東京五輪のマラソンと競歩について、札幌で開催することを検討していると発表。今月30日から3日間、都内で行われるIOC調整委員会で、大会組織委員会と東京都などと議論するという。しかし、トーマス・バッハ会長の意向は強く、このまま札幌開催が決まりそうな情勢になっている。 国際陸連(IAAF)のセバスチャン・コー会長も、「選手に最高の舞台を用意することは重要。最高のコースを用意するためにIOCや大会組織委員会などと密に連携していく」と前向きだ。一方で日本陸連の横川浩会長が、「寝耳に水。情報収集して今後の対応を見極めたい」と話すように、開催国である日本勢にとっては、サプライズともいうべきジャッジとなった。 今回の開催場所変更については、ドーハ世界陸上の女子マラソンの惨劇の影響が大きかったという。IAAFのコー会長は大会前の記者会見で、「ランナーの経験があれば、温度ではなく、湿度に大きな問題があると理解できる。私たちの医療チームは大きな警鐘を鳴らしている」と話していたが、ドーハのミッドナイトレースは想像以上に厳しかった。 大会初日に行われた女子マラソンは気温32.7度、湿度73.3%。現地で取材していて、少し歩くだけでも不快感のある気候だった。そのなかを選手たちは走ったわけで、レースは低調に終わった。優勝記録の2時間32分43秒は、1983年から始まった世界陸上でワーストタイム。出走68名中28名が途中棄権しており、日本陸連のある幹部は、「日中にレースをしたら死人が出ていたかもしれない」と漏らすほどだった。 男子50km競歩も女子マラソンと同じような気象条件で、46人がスタートしたものの、ゴールできたのは28人しかいなかった。金メダルを獲得した鈴木雄介(富士通)は終盤、徒歩のような速度に落として水分を補給。優勝記録の4時間4分20秒は、大会記録より30分以上も遅く、過去のワースト優勝記録と比べても10分以上も悪かった。