今年の会場では怒号響く…馬の殺処分で“炎上”した上げ馬神事 残したい伝統か時代か 悩み続ける地元の今
三重県桑名市の多度大社の伝統行事「上げ馬神事」は、若者が馬で急勾配の坂を駆け上り、先にある2mの土壁を乗り越えた回数で、その年の吉凶を占うとされる神事だ。 【画像】多度大社の上げ馬廃止を求める署名 去年9月 2023年、一頭の馬が骨折し殺処分したことが問題となり、2024年の神事では土壁をなくし、坂も緩やかにした。残したい伝統か、それとも時代か。悩み続けた地元のまつりと今を追った。
■馬が骨折し殺処分…大きく変わった伝統の「上げ馬神事」
去年2023年までの上げ馬神事では、多度のそれぞれの地区を代表して馬にまたがる青年達が、まさに命懸けで急斜面坂を上り、待ち受ける高さ2メートルの土壁に挑んだ。 その様子に多くの人が心を打たれ、地元の団結力や繁栄につながってきたという。 しかし2023年、新型コロナによる休止を経て、4年ぶりの開催となった祭りで一頭の馬が骨折し、殺処分になったことが大きな波紋を呼んだ。 伝統とはいえ、馬を傷つけてもいいのかと全国からの2万を超える署名が三重県庁に提出された。 伝統行事を所管する県の教育委員会は、多度大社に神事の改善を勧告。祭りの主催者側は、馬の専門家らと「在り方検討会」を立ち上げ、神事の大幅な変更を決めた。 三重県馬術連盟の河北浩峰理事長:(2024年2月22日) 当然壁はなくしていただき、緩やかな上り坂のみとする 長年祭りに関わる地区の代表、伊藤幹夫さん(68)が、その決断の裏側を明かしてくれた。 小山地区の区長 伊藤幹夫さん: (壁の)高さを下げるという案も色々は何回も出たり入ったりしましたけど、結果的には全国の人たちが明らかに見てわかる、高さを調整してはわからないので、なくなるかそのままかっていう形になった 伝統の祭りは「動物虐待」なのか。伊藤さんも14歳の時に乗り子をつとめた祭り一番の古株だが、馬への愛情を欠かしたことは、一度もなかったと強調する。 小山地区の区長 伊藤幹夫さん: ただいじめているとか暴力をわざとしているという行為は一切なく、なんとか前に進んでほしいとか、進行しようと思って努力している結果が、第三者はそういうふうに見られてバーってなったんじゃないか