米地区連銀総裁、政策金利をより長く高水準で維持する必要性を指摘
(ブルームバーグ): 複数の米地区連銀総裁は16日、金融当局として政策金利をより長く高水準で維持すべきだとの見解を示し、利下げを急がない立場を示唆した。金融緩和にはインフレ減速を裏付けるさらなる証拠が必要だとした。
クリーブランド連銀のメスター総裁とニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁、リッチモンド連銀のバーキン総裁がそれぞれ、インフレ率が当局目標の2%に達するにはさらに時間がかかる可能性があると論じた。
メスター総裁はオハイオ州ウースターでのイベントで講演し、インフレ率が2%に向かう道筋にあるとの確信について、「入ってくる経済情報は、そうした確信を得るのにより長い時間がかかることを示唆している」とし、「現時点では景気抑制的なスタンスをより長く維持することが賢明だ」と指摘した。
同総裁はその上で、サプライチェーン改善に伴う物価抑制圧力は弱まっており、インフレ沈静化ペースは昨年より緩慢になるとの見通しを明らかにした。
また、金融政策は現在、良い位置にあり、インフレ減速が滞ったと判断するのは時期尚早との考えをあらためて示した。今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つメスター氏は任期満了に伴い6月末に退任する。
ウィリアムズ総裁も16日に公表されたロイター通信とのインタビューで、現時点で金融政策を調整する理由は見当 たらないと発言。「インフレ率が2%の目標に近づくと確信を強める必要があるが、近い将来にそれが得られるとは思わない」と語った。
バーキン総裁は米経済専門局CNBCのインタビューで、サプライチェーンの回復により物品のインフレは著しく鈍化したものの、インフレ率を目標に戻すには需要をさらに減速させる必要があると指摘。「適切な方法で持続的に2%に達するには、もう少し時間がかかると思う」と話した。
15日に発表された4月の米消費者物価指数(CPI)は変動の大きい食品とエネルギーを除くコアベースで、前月比の伸びが半年ぶりに鈍化した。金融当局が利下げ開始を検討するのに先立ち若干の前進が見られた。