まさかF1チームからメールが届くなんて!? ウイリアムズ育成加入の松井沙麗「とにかく速いクルマに乗りたい。F1アカデミーから道が開ければ」
ウイリアムズ・レーシングは2024年の年明け早々に声明を発表し、同チームの育成プログラムであるウイリアムズ・レーシング・ドライバー・アカデミーに松井沙麗が加入することが明かされた。 【動画】角田裕毅&岩佐歩夢が登場! 臨時講師として”古巣”HRSのスクール生とカートバトル 13歳という若さでのF1チーム育成プログラム入りということもあり、このニュースは日本のモータースポーツ界でも大きな反響を呼んだ。motorsport.comではそんな彼女にインタビューを実施し、ウイリアムズ育成プログラム加入に至った経緯や将来の目標などを訊いた。 「ヨーロッパでレースができることを本当に嬉しく思います」 ウイリアムズ育成プログラム加入を受けて松井は改めてそう語った。 「私の夢はF1アカデミーに出場して、そこから道を開いていくことです。(育成プログラム加入によって)そこまでの道筋が見えてきたのかなと思います」 そしてウイリアムズというF1チームに対する印象を、松井は次のように語った。 「ウイリアムズは数々の有名ドライバーがいらっしゃった名門チームです。そのチームのアカデミーに加入させていただいたことは、本当に光栄なことだと思っています」 今回、松井がウイリアムズ育成加入に至ったキッカケは、2022年に彼女が参加した「ガールズ・オン・トラック」での結果が大きく関係しているという。 このプログラムはFIAがスクーデリア・フェラーリと協力し、将来有望な女性レーサーの発掘を行なうモノ。自身の強みは「笑顔で話せること」と語る松井は、スピードやバトルの強さ、レース運び、体力、そして英語力/コミュニケーション能力が試される中で、ヨーロッパ以外のドライバーで唯一最終選考に勝ち残り、脚光を浴びた。 その結果を見たウイリアムズは、松井のレース活動を支える父、広史さんにコンタクト。メールを受け取った当初は「F1チームから直接メールが来るなんて思ってもいなかったので、嘘かと思った」と驚きを隠せなかったと言う。 幸いにしてそのメールはホンモノ。松井は育成プログラム加入のテストも兼ねて、2023年9月のイタリアACIカート選手権に出場し、そこでのパフォーマンスが評価されてアカデミー入りを果たした。 「ウイリアムズから父に直接メールが届き、そこで一度テストを受けに来てほしいと言っていただきました」と松井は言う。 「そのテストの日がちょうどレースの日程と被っていたので、人生初の海外レースに出場し、そこからウイリアムズのアカデミーに加入させていただきました」 「2022年のFIAガールズ・オン・トラックでファイナリストまで残ることができたのがとても大きかったと思っています」 ちなみに松井は、昨年ホンダ・レーシングスクール・鈴鹿(HRS鈴鹿)カートクラスのベーシックコースを受講。年末のホンダ・レーシング・サンクスデーの前日に行なわれた特別講習会でのカート対決で、現役F1ドライバーの角田裕毅のプレッシャーを跳ねのけて勝利を飾ったスクール生として覚えている人も多いだろう。 模擬カート対決について松井に尋ねると、彼女は次のように答えた。 「カートに乗る前から本当に緊張しちゃいました」 「スタートからファイナルラップまでトップで走っていて、後ろに誰かがいるなと思っていました。その時は誰か分かっていませんでしたが、(角田に)ずっと走りを見てもらえていたと思うと、本当に嬉しいです」 「F1ドライバーの角田選手とF2の岩佐選手と走れて本当に嬉しかったですし、間近で見ることができたのもすごく嬉しかったです」 「実は次の日に鈴鹿サーキットでカートのレースがあったのですが、みんなに『角田君に勝ったね』と言っていただきました!」 松井は今年、マックス・フェルスタッペンをはじめ名だたるF1ドライバーも輩出しているカートのWSKスーパーマスターシリーズと、新たに発足するチャンピオン・オブ・ザ・フューチャー・アカデミー・プログラムでOK-Nジュニアクラスに参戦。イタリアのサウス・ガルダで行なわれたWSKデビュー戦では、早速2位表彰台を獲得している。 今後は基本的には海外でレース活動を行なっていくこととなる松井。ウイリアムズによる育成プログラムの具体的なサポート内容については「まだ分からない」と語るものの、まずはF1直下の女性フォーミュラカテゴリーであるF1アカデミー等へ出場することをひとつの目標に据えて、今後のキャリアを築いていくと説明した。 「今年で私は中学2年生になります。15歳になる来年にはOKクラスまでステップアップして(カートの)最高峰で戦えるようになれば、そこからF4への道が開けると思います」 「理想としては再来年にF4やF1アカデミーにステップアップして、そこから少しずつ上に上がっていけたらなと思っています」 今後の展望についてそう説明する松井にF1が最終的な目標になるのか? と尋ねると次のように答えた。 「とにかく速いクルマに乗りたいので、今はF1が目標です。F1アカデミーから道が開ければF1にも行ける選択肢はあると思います。F1にも乗りたいですし、インディカーにも乗りたいと思っています」
滑川 寛, 田中 健一
【関連記事】
- ■角田裕毅、4年目の愛機の出来は上々? F1テスト終えて高まる期待感抑える「予選Q3に行けるかも……でも言うには早すぎる」
- ■加藤大翔が描くF1挑戦に向けた“人生設計図”。2024年参戦のフランスF4では「大バトルよりもブッちぎるレースを見せたい」
- ■華奢な女性ドライバーは不利? Jujuの実父・野田英樹氏がSF重量規則について持論述べる「レース業界全体が考えていくべき」……チーム代表は“サンプル”の少なさに言及
- ■久々の女性F1ドライバーが見られる可能性があった? 新規参入レースに敗れたローディンがその構想を明かす
- ■女性ドライバーのF1での獲得ポイントは合計0.5……次にF1に辿り着く女性は誰か?