前田拳太郎“大作”、簡秀吉“渋皮”が粛清されたことを察して心痛める姿が切ない<君とゆきて咲く>
前田拳太郎と奥智哉がW主演を務めるドラマ「君とゆきて咲く~新選組青春録~」(毎週水曜夜0:15-0:45、テレビ朝日※関東ローカル)の第9話が、6月19日に放送された。渋皮(簡秀吉)が粛清されたことを察して、大作(前田)が心痛める様子が描かれて、切ない気持ちにさせられた。(以下、作品のネタバレを含みます) 【写真】渋皮(簡秀吉)の話をする大作(前田拳太郎)と丘十郎(奥智哉)ら ■「君とゆきて咲く~新選組青春録~」とは 本作は、史実を織り交ぜながら隊士たちの葛藤を描いた、手塚治虫氏の隠れた名作「新選組」を原作とした“シン・時代劇ドラマ”。幕末の時代を生き、はかなく散っていった新選組隊士たちの青春群像劇を、殺陣パフォーマンスや剣舞を取り入れた新たなスタイルで描く。 近藤勇や沖田総司、芹沢鴨など、新選組メンバーを中心に実在の人物も登場するが、物語の中心となるのは、オリジナルキャラクターとして描かれる深草丘十郎、鎌切大作という若き二人の隊士。二人は熱い友情を育んでいくものの、いつしか時代の波に翻弄(ほんろう)され、互いに殺し合わなくてはならない悲壮な運命へとなだれ込んでいく。 物語の主人公となる大作と丘十郎を演じるのは、前田拳太郎と奥智哉。「仮面ライダーリバイス」(2021年~2022年、テレビ朝日系)で共演経験のある二人が、本作では熱い友情で結ばれた新選組の若き隊士を演じる。 また、二人を取り巻く新選組隊士には、杢代和人(原因は自分にある。)、羽谷勝太、柊太朗、庄司浩平、簡秀吉、藤岡真威人、阪本奨悟、永田崇人、三浦涼介、高野洸ら、舞台から音楽、SNSまでさまざまなステージで活躍する若手キャストが集結。なかでも、「人生が変わる、シン・時代劇オーディション『真剣 SHINKEN』~新選組への道~」と題したオーディションで南無之介役を勝ち取った羽谷のほか、ともに最終審査を戦った柊太朗、庄司、上野凱らがどんな躍動を見せるのかも注目される。 ■長州との間者ではないかと疑われた渋皮は隊士たちの前から姿を消す 文久3(1863)年の京都。お人好しの父・七也(戸次重幸)が営む小さな茶屋で働く深草丘十郎(奥)は、慎ましくも誠実に日々を生きていた。ところがある夜、店に逃げ込んできた佐幕派藩士をかくまった七也が、長州藩士の庄内玄悟(上野凱)に斬り殺されてしまい、その穏やかな日常が一変。丘十郎は父の敵討ちを心に誓い、強くなるため壬生浪士組に入隊する。 恋した遊女とひそかに会っていたところを抑えられた渋皮(簡秀吉)は、長州との間者ではないかと疑われ、隊士たちの前から姿を消す。 ■南無之介「俺たちは同志なのだ」 夜、大作と丘十郎、新之丞(杢代)、南無之介(羽谷)が部屋で話す。新之丞は「別れのあいさつもできませんでしたね。実家に帰ったと短く教えられただけで」と言い、部屋に沈黙が流れる。丘十郎が「それを信じるしか無い」と言うと、「いくら決まりを破ったとはいえ、近藤さんや土方さんが渋皮にひどいことをするわけがない」と南無之介が言い、丘十郎も「そうだな」とうなずく。 南無之介は「俺たちは同志なのだ」と強く主張し、新之丞と目を合わせてうなずき合う。大作は「同志…」とひとり伏し目がちににつぶやき、丘十郎が気づいて心配そうに見る。 夜中、渋皮が粛清されたことを察した大作は罪悪感に苛まれて、苦しそうに吐く。そこへ丘十郎がやってきて大作の背中をさすってやるのだった。 彼らを包む厳しく重い空気にいたたまれない気持ちになる。また、一番脆くて繊細なのは案外、大作なのかもしれないと思え、普段とのギャップもあいまってより切なくなった。 ◆構成・文=牧島史佳