山田太一の傑作小説を再映画化 時空を越えて描かれる家族の愛の物語 映画『異人たち』
山田太一の長編小説「異人たちとの夏」を『荒野にて』『さざなみ』などで数々の賞に輝いた監督/脚本家アンドリュー・ヘイの手により再映画化した、映画『異人たち』。この度、本作の特別映像が公開された。 子供の頃の記憶をたどって懐かしい故郷を訪れた主人公のアダムは、まるでタイムスリップしたかのように、死別した両親との再会を果たす。山田太一が創作したこのユニークな幻想譚に魅了されたアンドリュー・ヘイ監督は、本作の再映画化にあたり、自らのプライベートな要素を織り交ぜ、愛と孤独、喪失と再生、家族の絆といった普遍的なテーマを探求した。 子供の頃に両親を交通事故で失い、30年前に負ったそのトラウマゆえに誰かを愛することさえ忘れていたアダムが、思いがけない両親との交流によって子供時代に回帰していく。そして、30年前の当時の姿のまま、大人になったアダムと想いを通わせる両親の姿が、美しく幻想的な映像とともにエモーショナルに描かれる。 この度公開された特別映像では、アダムが両親と再会を果たすその瞬間や、郷愁の眼差しで両親を見つめるアダムの姿、そして、かつて互いに抱えていた苦悩や葛藤を吐露し、家族の絆と愛を再びつなぎとめる描写が映し出される。辛い想いを抱えていた当時のアダムに手を差し伸べることができなかった父の葛藤を知ったアダムは、解放されたように涙を流し、父の想いを受け入れる。二度と会うことも、話すことも出来ないと思っていた父や母との、時空を越えた邂逅とそこに描かれる深い愛。 さらに、ヘイ監督はアダムを同性愛者として描き、監督が一貫して関心を抱いてきたセクシュアリティという主題についても現代的な視点で掘り下げている。自身のパーソナルな記憶と想いを山田太一原作の物語に付与することで、今を生きる人々の心に突き刺さる愛と喪失の物語へと昇華させた。 映像では、アダムが母親へ向けて、自身がゲイだと告白するシーンも描かれており、アダムを演じたアンドリュー・スコットは、「グッとくるよ。個人的にすごく気持ちが分かる。僕もゲイだからね。温かい反応を祈りながら家族に打ち明けた経験もある。みんな家族の絆を感じたい。」と自身の経験を踏まえた想いを明かす。 ヘイ監督はスコットについて、「アンドリュー・スコットのことは最初から頭にありました。私は長い間、彼を俳優として尊敬していました。そして、すべてのクィア役がそうであるわけではありませんが、主役が役柄と同じセクシュアリティを共有していることは私にとって重要でした。この映画のクィアネスの探求には多くのニュアンスがあり、それを深いレベルで理解できる人が必要だったのです。」とその起用理由を語り、本作でみせるスコットの演技を絶賛している。 映画『異人たち』は、2024年4月19日(金) 日本公開。
otocoto編集部
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