立てこもり4人殺害事件から半年 現場は今【長野・中野市】
事件から、175日。 4人を殺害したとされる男が、起訴されました。 被告の両親は、弁護士を通して、今の心境を打ち明けました。 村岡春視記者「事件からおよそ半年となる青木被告の自宅です。自宅の前には今も規制線が張られています。手つかずの状態です。家の中にもまだ人気はありません」 事件が起きたのは5月25日。 中野市江部で近くに住む女性2人が刃物で刺され、駆け付けた警察官2人が猟銃や刃物で殺害されました。 この4人を殺害したとして逮捕・起訴されたのが、中野市の農業・青木政憲被告(32)です。 現場となった工場は今、スキーやスノーボードのレンタル業者が倉庫として使っています。 その目の前の畑には、ネギや大根などの野菜が育っていました。 ■近くの住民「なかなか伸びないから(肥料を)くれてみたの。何回肥やしくれたかわからない」 この畑を所有する女性です。 事件を思い出してしまうため、しばらく畑に来ることが出来ませんでした。 その影響で作業が遅れ、いつもなら収穫できる時期のはずが、満足のいく大きさには育っていないそうです。 ■近くの住民「忘れることはできないですね、忘れようとしてるけど。多少前と違ってこの辺をお散歩する人もいるしランニングする人も(いる)。徐々にですけどね。少しずつね、のどかな風景というか生活が戻ってくるといいかな」 起訴状によりますと、竹内靖子さん(当時70歳)と村上幸枝さん(当時66歳)は、胸や首などをナイフで何度も刺されて亡くなりました。 ■竹内さんの遺族「妻・母は刃物で何カ所も切られ、刺され、骨の一部が地面に落ちていたほど残忍な死を犯人から受けました。朝起きれば朝食が用意されており、一緒に食べ、畑に一緒に行って作物を作ったりしていました。何気ない日々でしたが、このような形で妻・母を失い、何気ない日々がとても幸せだったと思います」 ■村上さんの遺族「何の罪もないのに、体を貫通するほどの強い力で、何度も何度も刺されました。恐怖でたまらなかったことでしょう。怖くて苦しくて、どれだけ痛かったことか。時間だけが無情に過ぎていく一方で、私たちの気持ちは一歩も前に進むことはなく、会いたくて、会いたくて、涙があふれ止まらなくなることがあります。せめて一度でもいいから会いたい。でも、もうそれも叶いません」 4人を殺害した後、自宅に立てこもった青木被告。 ■秋本大輔記者「事件の発生からおよそ12時間、ついに男が確保されました」 投降のタイミング、被告の近くには白い飼い犬がいました。 犬が、この日は自宅に戻っていました。関係者が家に出入りしているということなのでしょうか。さらに、青木家の所有する農園で草刈り作業をする男性の姿も。 ■男性「青木さん(被告の父)に頼まれたので…」 青木被告は逮捕後、刑事責任能力の有無を調べる「鑑定留置」を経て、16日に起訴されました。今後の流れについて、刑事訴訟法が専門の信州大学・丸橋昌太郎教授に聞きました。 ■信州大学・丸橋昌太郎教授「まさに今、弁護人が証拠を精査しているところだと思うが、弁護人がどういう主張を組み立てていくか、というのがポイントになってくる」 裁判では、事実関係は争わないとみています。 争点となるのは… ■信州大学・丸橋昌太郎教授「今回は死刑の可能性のある事件なので1つは量刑の部分が争点になると思う。量刑を争うにあたって実質的にもどういう精神状態だったかというのは大きな要素になるので、責任能力含めてそこが中心の争点になるのは間違いないと思う。特にポイントになるのは、「犯行時に備わっていたかどうか」なので、犯行時の色んな資料、どういう行動をしていたかということ含め検討していくことになる。一般的にはこの手の事件だと1年は今までのケースを見るとかかっているので、長ければ2年を超えるケースは結構ある」 また、制度として、弁護人が裁判所に再び精神鑑定を申し立てることができます。 ■信州大学・丸橋昌太郎教授「鑑定留置やっているので、そこをやったうえでさらにやらなければいけない事情があればやると思うが、それがあるかどうか裁判所側が判断すること」