松井知事が誘致「五輪後の日本経済牽引を期待」2025大阪万博とはどんなもの
11日、2025年国際博覧会(万博)大阪誘致が閣議で正式決定しました。今後、国挙げてPR活動に乗り出すことになります。大阪府が万博「大阪誘致構想検討委員会」を立ち上げてからわずか2年。松井一郎大阪府知事が、「2020年東京五輪・パラリンピック後の日本経済成長をけん引する契機にする」と位置づけ、経済界に声をかけて取り組んできた「2025年大阪万博」とは一体どんなものでしょうか。 【生中継】「大阪万博」誘致目指す松井知事が午前10時半から会見
来場者数は2800万人から3000万人想定
経産省が取りまとめた立候補に向けた報告書によると「2025年大阪万博」は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)100ヘクタールを会場とし、2025年5月3日から11月3日まで計185日間の開催を予定しています。来場者数は2800万人から3000万人を想定しています 万博はBIE(博覧会国際事務局)の承認のもと、国際博覧会条約に基づき開催される国際博覧会です。BIEには164カ国加盟(2016年4月現在)、パリに本部があります。万博には現在、5年以上の間を置いて開かれる「登録博覧会」と、開催期間や会場規模が登録博覧会より小規模で、それぞれの登録博覧会の間に1回催すことができる「認定博覧会」の2種類があります。 2005年愛知県で開かれた「愛・地球博」や2015年イタリア・ミラノ博は「登録博覧会」で、次回2020年はアラブ首長国連邦のドバイで開かれることが決まっています。日本が誘致を目指す大阪万博は、ドバイの次、2025年開催の登録博覧会で、4月末には正式立候補を申請する予定です。その後、BIE総会で概要を説明し、調査団の視察を経て、来年秋の加盟国による投票で開催地が決定することになっています。大阪のほかにはすでにフランスが開催地として名乗りを挙げています。
開催地はIR構想のある人工島・夢洲
万博は国として申請するため、今回の会場建設費約1250億円は、国と地元自治体、経済界が3分の1ずつ負担することが決まりました。夢洲はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の構想もあり、ことし2月に大阪市が明らかにした夢洲のまちづくり構想では、夢洲中央部を3つのゾーンに分けて整備。観光産業ゾーン約170ヘクタールのうち約70ヘクタールにカジノや1万人規模の国際会議、展示会が可能なIR施設などを設置。万博会場分は2019年ごろまでに埋め立てを終えとし、閉幕後は万博のテーマを引き継いだ、生命科学産業の研究・開発施設を開業するとしています。 1964年東京五輪の後に開かれた1970年の日本万国博覧会は大阪府吹田市の千里丘陵を舞台に、当初予想の3000万人を大きく上回る6421万8770人が来場。交通網整備などが進み、その経済効果は、2兆円から3兆5000億円とも算出されています。また、「愛・地球博」の会場となった愛知県長久手市は住民の平均年齢が「日本一若いまち」として知られるなどベッドタウンとして人気を集めています。
急展開で決まった誘致、準備不測が懸念材料
このように、大型インフラ事業などが生み出す経済効果やその後のまちのブランドイメージを形成することが期待される万博誘致。今後は官民でつくる誘致委員会トップを務める経団連の榊原定征会長を中心に、招致合戦に取り組むことになりますが、誘致表明から閣議承認まで7年かかった愛・地球博とくらべ、準備不測や、高度経済成長期のように大型事業が経済効果を生むことができるか、懸念する声もあります。 関西、しいては日本経済の起爆剤にできるかどうか、まずは大阪万博の認知度を広め、開催機運を国内でも高めることができるかが、誘致の成否にかかわってきそうです。