『ゴジラxコング』はアメリカンプロレスの怪獣版だ! 言葉を喋らないのに理解できる驚き
コングが話の分かるヤンキーなら、ゴジラは話が分からないヤンキーだ
もちろん、我らが怪獣王ゴジラさんも元気いっぱいである。コングが話の分かるヤンキーなら、ゴジラは話が分からないヤンキーだ。食いたい時に食い(原発を襲って放射能を)、寝たい時に寝る(ローマのコロッセオで)。乱暴かつ身勝手な『ドンケツ』のロケマサや『じゃりン子チエ』のテツに近い。この辺、兄貴肌のコングと上手くキャラの差別化ができている。しかし、いざバトルが始まったら、普段の熱線に加えて、なんとプロレス技までかますから、頼り甲斐があること甚だしい。前作『ゴジラvsコング』(2021年)に続いて、今まで見たことのないゴジラが見れるのは、いちファンとして素直に嬉しかった。そしてモスラとのラブコメ寸劇も優しい気持ちになる。 こういった個性豊かな怪獣たちのドラマが交差し、ブラジルの街をブチ壊しながら戦うクライマックスは、さながらアメリカンプロレスの怪獣版だ。もはや「楽しい」としか言いようがなく、今年公開される全アクション映画の中でもベストマッチの一角となるだろう。 登場怪獣たちが「ウホウホ」と「ゴガァァ!」しか言ってないのに、なぜか彼ら彼女らの会話の内容も感情も分かるという、唯一無二の体験だけでも、本作は観る価値がある。これもまた怪獣映画の理想形の一つだ。魅力的な怪獣たちが織り成すゴージャスなるバトルオペラ、ぜひスクリーンで堪能してほしい。
加藤よしき