「いつも寝ていたいし何もしたくない」トップモデル・山口小夜子が語るコンプレックス
ファッションの街・パリでコレクション・モデルとしてデビューし、一シーズンに十数件のショーを掛け持ちするなど、文字通りのトップモデルとして活躍した山口小夜子。 【写真で見る】「ビジネスとしてのファッション」を目指してはいけない(山口小夜子) モデル・俳優の冨永愛は、もっとも尊敬する存在と公言する。マツコ・デラックスは美の化身と絶賛。 亡くなって15年以上が経つが、いまも多くの女性がそのファッションやメイクに憧れ、模倣する。東京都現代美術館の「山口小夜子 未来を着る人」展覧会(2015年)には5万6000人もの人が来場した。 山口小夜子は、印象的な言葉を数多く残した人でもあった。 生前に残した多くのインタビューを再編集した新刊『この三日月の夜に』から、圧倒的に美しい写真と「天につながる」言葉を抜粋して紹介する。 モデルの仕事は どんなに美しく装っても、その場限り モデルらしいことは何もしていません。ただ、なるべくたくさん食べようとは思っていますが。 だからね、仕事をしているときが、わたしのストレス解消のときなのかもしれない。 深く考えれば、モデルの仕事はむなしいものかもしれない。どんなに美しく装っても、その場限りです。でも、それはモデルをしている以上、仕方のないことだと思うんです。 with 1981年10月号 ダラダラしていたい私を どもうひとりの私が叱ってくれる いつも寝てたいし、何もしたくないし、仕事もしたくない、もうダラダラしてたいのね。それが自分の中にあるのが判っているわけ。この気持ちを野放しにしてると、もうどんどん行っちゃうっていうのが判るから、もうひとりの私がいてそっちはいつも強い人なのね。その人が『だめだ、だめだ。ちゃんとしなさい』って言ってくれるわけね。 PENTHOUSE 1984年10月号 ほんとに全部、 きらいなのネ わたし全部ダメなんです。ほんとに全部、きらいなのネ、だからコンプレックスのかたまりなの。 サンデー毎日 1983年1月30日号 写真を撮られている時、 いろいろのことを忘れてしまう 自分自身に一度も自信をもったことがないの。すべてにコンプレックスがある。渦巻いている。それが写真を撮られている時、不思議なことに眠くなってしまったりして、いろいろのことを忘れてしまうのね。 写真集「小夜子」 1984年9月23日 恥ずかしがり屋なのに ステージに上がると変わっちゃうの 普段はすごい恥ずかしがり屋でだめなの。ただ、ステージの上に上がると何かわかんないけど、元気が出ちゃうんじゃないけど、変わっちゃうの。 サンデー毎日 1983年1月30日号 写真を撮られている時 自分の本当が出ているのかもしれない 写真を撮られている時、私はひょっとしたら自分の本当が出ているのかもしれないとおもうことがある。いつもよりおもいきったことができるのはそのせいかもしれないの。それに比べると、ふだんはかえって仮面をかぶっているのかもしれない。 写真集「小夜子」 1984年9月23日 おすすめ記事<「ビジネスとしてのファッション」を目指してはいけない――伝説のモデルが訴えていたファッション界の危機>
山口 小夜子(モデル)