沖縄県幹部「1年後どうなっているか……」トランプ氏勝利に困惑
米大統領選で勝利が報じられた共和党のドナルド・トランプ候補はこれまで、在日米軍撤退を示唆するなど日米の安全保障について言及してきた。在日米軍の約7割が集中するとされる沖縄県では、一部でその姿勢を歓迎する動きもあった。しかし、トランプ氏は不規則発言が多いほか、過去の発言を修正する場面もあり、大統領就任後の動向は依然として不透明だ。沖縄県幹部も「1年後どうなっているか分からない」と見通しが立たないことへの困惑を隠さない。
県幹部は、トランプ氏が一部の過去の発言を修正してきたことを承知した上で、「それでも県としては(同氏が大統領就任後も)一度表明された立場を貫くことを想定して準備していかなければいけない」と説明。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題などを抱える同県は、米側での情報収集などを目的としてワシントンに駐在職員を2人配置しており、「こういう時にどこまで情報が取れるか分からないが、最新動向を探るために職員が現地にいるのはプラス」と話した。 県職員の間でも「トランプ大統領」が誕生した場合の対応について、頻繁に話題に上ったという。しかし、結果については「あまり予想している人はいなかったんじゃないか。こういうことが起きるんだね」と驚いた様子。沖縄の米軍基地はこれまで、減らしたり、統合したりする選択肢は議題に上ったものの、「撤退」を前提とした議論はなかった。トランプ氏が大統領就任後も撤退論を展開すればこれまでにない展開となる。県幹部は「これまで沖縄の米軍基地問題に携わってきた人は頭の中からっぽになっちゃったのでは」と表現した。 沖縄県では2014年、普天間飛行場の県内移設を容認してきた仲井真弘多前知事を破って、県内移設反対を掲げた翁長雄志知事が当選。「沖縄県庁もこの2年であっという間に変わった。トップが替われば変わるもの。しばらくは様子を見ないと分からない」と指摘した。「最終的に沖縄にとってプラスになるのかマイナスになるのか、1年後にどうなっているのか分からない、というのが正直なところ」と語った。