米政府、イスラエルに10億ドル相当の武器供与を計画
アメリカ政府は14日、イスラエルに10億ドル(約1560億円)を超える規模の武器を送る計画を連邦議会に通告した。 ロイター通信によると、このパッケージには戦車弾薬、迫撃砲、装甲戦術車両(ATV)などが含まれているという。 議会関係筋はこの計画の存在を、BBCがアメリカで提携しているCBSニュースに認めた。計画の実施には、議会での承認が必要となる。 ジョー・バイデン大統領は先週、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区南部ラファに本格的に侵攻した場合、イスラエルへの武器供与を停止すると発言。2000ポンド爆弾の輸送を遅らせたと発表した。 8日放送の米CNNによるインタビューでバイデン氏は、「ガザではこれらの爆弾によって、民間人が殺されている」と述べた。 14日に議会に送られた軍事支援パッケージ案は、バイデン政権がイスラエルへの武器輸送を一時停止して以来、初めて提出されたもの。AP通信によると、7億ドル相当の戦車弾薬、5億ドル相当の戦術車両、6000万ドル相当の迫撃砲弾などが含まれるという。 アメリカ国務省は11日、ガザ地区での戦闘で、アメリカから供与された武器を国際人道法に違反して使用した可能性があると発表した。 この報告書は、ガザにおけるイスラエルの作戦の一部を明確に非難している一方、イスラエル国防軍(IDF)の作戦が国際法に違反したとは断定していない。 また、アメリカからの武器の合法的使用についてイスラエルから得た保証は「信頼に足るものであり、信用できる」としている。 連邦議会は4月、イスラエルやウクライナ、台湾などに対する合計950億ドル相当の軍事支援パッケージを承認している。 ■武器供与が大統領選の争点に イスラエルへの武器供与をめぐっては、11月の大統領選を前に、バイデン氏の政治的責任を問う声が出ている。 今回の軍事支援案は、メリーランド州で行われた大統領予備選挙の投票が終わった直後に発表された。同州の活動家らは、ガザ戦争をめぐってバイデン氏がイスラエルをひいきしているとして、抗議の投票をするよう有権者に呼びかけていた。 一方、連邦議会の共和党議員は、アメリカの友好国への武器輸送がこれ以上中断されるのを防ぐ法案を提出した。 下院は今週、国務省と国防総省に軍事装備の「迅速な引き渡し」を義務づける法案を採決する。ホワイトハウスは、この法案が上院を通過した場合には拒否権を発動すると宣言しているが、法案が上院を通過する可能性は低い。 昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲では、イスラエル側で約1200人が殺害され、252人が人質に取られた。イスラエルは直後にハマス壊滅を掲げてガザで軍事作戦を開始した。 ハマス運営のガザ保健省は、イスラエルの報復攻撃による同地区での死者は3万5170人に上るとしている。 ロイター通信は、ガザ地区のパレスチナ人住民の話として、イスラエルの戦車がラファ南東部の住宅地に入り込んでいると伝えている。 (英語記事 Biden administration plans $1bn arms shipment to Israel)
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