【稽古場レポート】田中夢羽は全体の“積み上がり”を実感…色とりどりの楽曲で紡ぐミュージカル「ALICE」稽古場公開
11月4日に開幕する「ミュージカル『ALICE~不思議の国のアリスより~』」の稽古場取材会が、本日10月16日に東京都内で行われた。 【画像】ミュージカル「ALICE~不思議の国のアリスより~」稽古場取材会より。左から吉田要士、土屋アンナ、池上季実子、田中夢羽、ROLLY、河相我聞。(他10件) 本作は、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」を原作に、西田直木が上演台本・音楽・演出を手がけ、“ALICEの誰も知らなかった物語”を立ち上げるミュージカル。オックスフォードに暮らす、物語の創作が好きなアリスは、ある日、白ウサギを追いかけて不気味な大穴に飛び込んでしまう。穴の中には、アリスがこれまで見たことがないような世界が広がっていた。そこでアリスは、同じく穴の中の世界に迷い込んだ小説家のチャールズと摩訶不思議な冒険へと旅立つ。2016年に初演された同作が、今回、顔ぶれを新たに上演される。 稽古場取材会で披露された5曲からは、本作の楽曲の豊かさや、エネルギッシュなダンス、優雅なデュエットダンスなどの多彩なダンスシーン、そして登場人物が抱える葛藤や苦しみ、信じることの美しさといったメッセージが浮かび上がった。 アリス役の田中夢羽は、明るさのある歌声と大きな身振りでアリスの芯の強さを歌唱ににじませる。一方、ハートの女王役・池上季実子と対峙するナンバーでは、池上から目を逸らさずに思いをまっすぐ伝え、アリスの慈愛と誠実さを体現した。本作でミュージカル初挑戦となる池上は、声を震わせて女王の悲しみを表出。地に轟くような深みある歌声が、愛する者を亡くした女王の悲哀を代弁する。ROLLYはドスの効いたセリフや、机を叩きつける仕草で帽子屋ハッターの横暴さを見せつつも、音楽が鳴った途端、かわいらしい振付とカリスマ性ある歌唱で記者たちの視線を集める。その姿に池上は「さすがね」と感心した様子でつぶやいた。 チェシャ猫役の土屋アンナと白ウサギ役の吉田要士は、それぞれの主張の違いを述べる「白か黒か」で迫力の歌声を披露。掛け合いが盛り上がるにつれてパフォーマンスにも熱が入り、土屋は足上げやターン、吉田は側転と、身体を駆使した見応えのあるシーンを立ち上げた。チャールズ役の河相我聞は、田中とのデュエットで柔らかな歌声で稽古場を包み込んだり、衛兵たちとのダンスナンバーでコミカルな姿を見せたり、不思議の国で振り回されるチャールズを柔軟に演じた。 稽古場取材会のあとには出演者による囲み取材が行われ、それぞれが公演に向けて心境を語った。なお、池上に加え土屋、河相がミュージカル初出演となる。田中は「日々の稽古で、少しずつ全体が積み上がってきているのを実感しています。季実子さんの迫力は毎回涙が出るほどですし、ROLLYさんとアンナさんはロックな感じがカッコイイ。皆様とご一緒させていただけてなんてラッキーなのだろうと。公演が終わったら悪いことが起きるんじゃないかと思うくらいです(笑)」とちゃめっ気たっぷりに充実ぶりを話す。 池上は「毎日新しく学ぶことばかり。稽古が進むほどにプチパニックに陥っています。こんなに全力で歌ったり、怒鳴ったりすることはないので、毎日クタクタ」と語り、回復の手段は「食と睡眠」だと明かした。また、ROLLYは作品について「細かいところまで見どころ満載です。出演者1人ひとりの情熱が素晴らしく、一丸となって良いものを作り上げようという熱意が感じられますので、必ずや素晴らしい光が差し込んでくると思います」と独特な視点で分析する。 ミュージカルを「安易に入れる場所ではない」と感じていたという土屋は、飛び込んでみた感想を聞かれ、「楽しいです! 汗をかいて、必死に伝えようとしている人の姿を生で観ると感動する。その姿に共感したり、涙したり、笑ったりすることで、人は美しく生きられるんだと思います。その素晴らしさが伝わるように、全力でやりたい」と笑顔を見せた。吉田は「白ウサギは懐中時計を持っていて、慌てん坊で、ずっとバタバタしていますが、体力勝負でがんばっております。宝箱ひっくり返したようなきらびやかさとゴージャスさ、エレガンスさを兼ね備えた作品なので、 ご家族やご親戚、3世代、4世代で観ていただきたいです」と語った。また、「普段は2時間ドラマに出たりしているので、ファンタジーな作品に出演できることがうれしい」と明かす河相は、「皆さんで歌ったときの楽しさ、歌の力のすごさを感じています。それをきちんと届けられたら」と意気込んだ。 本作は11月4日に青森・リンクステーションホール青森で開幕したあと、来年1月まで全国を巡る。 ■ ミュージカル「ALICE~不思議の国のアリスより~」 2024年11月4日(月・振休) 青森県 リンクステーションホール青森 2024年11月7日(木)~2024年11月9日(土) 東京都 きゅりあん 大ホール 2024年11月24日(日) 愛知県 刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール 2024年12月1日(日) 大分県 J:COM ホルトホール大分 2024年12月7日(土) 岐阜県 関市文化会館 2024年12月14日(土) 熊本県 熊本県立劇場 2025年1月11日(土) 大阪府 泉佐野市立文化会館(エブノ泉の森ホール) 2025年1月12日(日) 香川県 レクザムホール(香川県県民ホール) 2025年1月16日(木) 長崎県 南島原市ありえコレジヨホール 2025年1月18日(土) 鹿児島県 川商ホール(鹿児島市民文化ホール) 2025年1月25日(土) 静岡県 磐田市民文化会館「かたりあ」 2025年1月26日(日) 和歌山県 粉河ふるさとセンター □ スタッフ 上演台本・音楽・演出:西田直木 □ 出演 アリス:田中夢羽 ハートの女王:池上季実子 帽子屋ハッター:ROLLY チェシャ猫:土屋アンナ 白ウサギ:吉田要士 チャールズ:河相我聞 ドルディ:植松恵理 ドルダム:真樹めぐみ 甲斐祐次 / 柿内有馬 / 菅原聡史 / 日野樹 / 彌益凜 / 朝丘奈津実 / 小林実加 / 月紫えりか / 松井純菜 / 水沢ふう ※2025年1月に長崎公演あり。