「置き配」の救世主?◆「物流24年問題」、オートロックの壁に挑む【時事ドットコム取材班】
◇共用部分の使用、どこまで?
一般的に「置き配」で心配されるのは、荷物の盗難トラブルだが、オートロックの内側に届けられれば、犯罪リスクは低いとみられる。むしろ、既存のマンションに後から機能を追加する際に課題となるのは、配達した荷物の大きさや置き方次第で、各住居につながる廊下をふさいでしまうといった住民トラブルのほうだ。このため、入居している住人同士の合意形成が重要になる。 分譲マンションでは、管理規約や使用細則で共用部分の使用制限を設けていることも多い。ライナフのサービス導入を決めた三菱地所コミュニティの広報担当者は「消防法なども踏まえながら、置き配に関するルールの整備を、管理組合に提案していく」と話す。 消防法は、火災が起きた際に、避難経路を確保するため、「廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について、避難の支障になる物件が放置されないように」適切に管理する必要があると定めている。 国交省がまとめた置き配の現状と実施に向けたポイントには、「共用部分に宅配物・生協配送・牛乳配達など、避難の支障とならない少量の私物を暫定的に置く場合は、長期放置や大量・乱雑な放置などを除き、社会通念上、法的問題にはならない」との記載がある。その上で、住民同士のトラブルを防ぐため、置き配の運用方法について「管理組合で合意を行うことが望ましい」との立場だ。 ◇高まる「非対面」ニーズ 宅配荷物の再配達は、業者、利用者ともにストレス。共働きの増加やコロナ禍を経て、配達員から直接受け取らずに済む「非対面」のニーズは、置き配も含め高まっている。 アイホンの井上課長は「使えるサービスの対象が、身近なスーパーやクリーニング店など、町ぐるみで広がれば、利便性はさらに高まる」と拡大に期待を寄せている。