すべてのゲーマーを健康にしたい!──『リングフィット』100%RTA走者・えぬわた氏は、なぜ自費で「ゲーマー向けのオリジナルプロテイン」をプロデュースしたのか。ときど氏、GreedZz氏、takera氏ら筋肉プロゲーマー協力の「Nプロテイン」のすべてを聞いてみた
「すべてのゲーマーを健康にしたい!」 ある日、電ファミ編集部にやたらと熱いダイレクトメッセージが届いた。送り主はRTA(リアル・タイム・アタック)走者として知られるえぬわた氏だ。過去には『リングフィットアドベンチャー』のRTAで同接18万人を記録し、28時間かけて「100%」クリアを達成した人物である。 【この記事に関連するほかの画像を見る】 そんなえぬわた氏がこのたび「ゲーマー向けのオリジナルプロテイン」を作ったとのこと。その名も「Nプロテイン」。 しかも、3名の筋肉プロゲーマー(ときど氏、GreedZz氏、takera氏)に製造過程で試飲してもらい、意見が反映されているそうだ。 どうやらえぬわた氏はゲーム配信者として活動しているうちに「ゲーマーは体力が必要なのに不摂生になってしまう人が多い」という課題を感じ、プロテインを作るにいたったという。 たしかにゲーマーはゲームを優先するあまり睡眠や食事が疎かになりがちだ。また、長時間同じ姿勢でいることで肩こりや運動不足が慢性化しやすい。そして気がつくと「体のどこかがいつも痛い」「集中力が持たない」「カフェインに頼る」というような事態に陥ってしまう。 ……思い当たる節がありすぎる。 とはいえ、プロテインってそんなに簡単に作れるものなの? こういう「○○プロデュース」みたいな商品って著名人の名前だけ使ってるんじゃないの? 肝心の味はおいしいの? 価格は? 内容量は? そんな疑問がいくつも湧いてくる。なぜなら筆者は『リングフィットアドベンチャー』と『フィットボクシング』で30kgほど減量し、腹筋を6つに割ったという過去があるためプロテインにはちょっとうるさい。 どれくらいうるさいかというと、本を出してしまうくらいうるさい。150cm72kgだった筆者が肥満2度から脱却できたのは、(上記の運動と)プロテインのおかげと言っても過言ではありません。 そういった経緯もあり筆者は2019年からプロテインを飲み続け、現在も「プロテインのおいしい割り方」を追求している。つい先日も “究極の配合” を見つけたばかりだ。チョコレート系のプロテインにココアパウダーを入れると、いきなりリッチな味わいになるので試していただきたい。 このようにプロテインは飲み方をアレンジできるためじつに奥深く、「一生飽きないのでは?」と思ってしまうほどだ。少なくとも飲み始めた2019年から現在にいたるまでの4年間は、よほどのことがない限り毎日欠かさず飲んでいる。 しかしどんなにプロテインが好きでも、さすがに「自分で作る」という発想はなかった。だからこそえぬわた氏の試みに筆者はとても興味がある。 そこで、気になる疑問をすべてぶつけてみることにした。 ちなみにえぬわた氏は先日、「えぬわた」としての活動を終了することも発表している。 本稿では、11月30日をもって活動を終了するえぬわた氏が「すべてのゲーマーを健康にしたい!」という志のもと、ゲーム業界に残していく「Nプロテイン」のすべてをお届けしていく。 聞き手・文/柳本マリエ 編集/実存 ■企画書作成から物流構築までほぼすべてをえぬわた氏が担当 ──単刀直入にうかがいますが、えぬわたさんが「プロテインを作った」とはどういうことでしょうか? 巷では著名人を起用した「○○プロデュース」みたいな商品が溢れていますし、どこまで携わっているのか気になります。 えぬわた氏: 商品については、企画の段階からほぼすべて私ひとりでやっています。 企画書を作ってプロテインメーカーにプレゼンしたのも私、その後のメールや打ち合わせも私、味の確認も私、マーケティング戦略を考えるのも私、プロゲーマーの方々(ときど氏、GreedZz氏、takera氏)の事務所とやり取りしているのも私、ショップや物流の構築も私、もちろん資金も私の財布から出ています。 ただしパッケージデザインだけはとあるゲーム会社のデザイナーさんにお願いしました。しかし、その発注や監修も私です。 ──想像以上に携わっていますね。疑ってごめんなさい。むしろご自身でやりすぎなのでは!? えぬわた氏: もちろん私自身がプロテインの調合はしていないので衛生面などはご安心ください。長年プロテインを製造している国内メーカーに、味はもちろん法的な問題も徹底的にご協力いただいております。ショップや物流についても打ち合わせなどをしているのは私ですが、既存のサービスを利用しているのでそこもご安心ください。 ──なるほど。安全性や品質が求められる部分はお任せして、それ以外をえぬわたさんがご担当されている、と。 えぬわた氏: はい。基本的に人件費は私だけということもあり、価格に還元することができました。市場のプロテインと比較してもかなり手に取っていただきやすい価格になっているかと思います。 ──正直なところ、プロテインの価格ってピンキリだと思うんです。あまりに安いものは品質に不安があるし、一方で1kg1万円近くするものは高すぎて手が出せません。しかも内容量は1kg(輸入ものだと2kgなど)のものも多いので「これちょっと試したいな」というときには不向きですし。 500gくらいなら試しやすいのですが、Nプロテインはどのような価格や内容量になっているのでしょうか? えぬわた氏: じつはまさにその需要にお答えしていまして、内容量については1kgと500gの2種類をご用意しています。価格は、1kgで4201円(税込)と500gで2905円(税込)です。 ──なんと! 500gは「試しに飲んでみたい」という人にありがたいですね。価格も手が出しやすいです。フレーバーについても教えてください。 えぬわた氏: フレーバーは、チョコレート風味、バニラ風味、ミックスフルーツ風味、レモネード風味の4種類です。 チョコレート風味はスタンダードな味として、バニラ風味は甘いものが好きな方に向けて、逆にレモネード風味は甘いものが苦手な方に向けて、ミックスフルーツ風味はフルーツ系が好きな方に向けて、どんな方にでもなにかしら刺さるような4種類のフレーバーをご用意しました。 ──なるほど。飲みやすい基本のラインを押さえていますね。市場には味の想像がつきにくいプロテインもたくさんありますが、毎日飲むとなると「癖のないフレーバーに戻る」ということはよくあります。あとは、起きてすぐ飲むなら「甘いバニラ系よりもすっきりしたフルーツ系が飲みやすい」というような、飲む時間帯に対するフレーバーの相性もあると思います。 ■筋肉プロゲーマーのときど氏、GreedZz氏、takera氏が試飲 ──チョコレート風味、バニラ風味、ミックスフルーツ風味、レモネード風味それぞれの味についても詳しく教えていただけますでしょうか。 えぬわた氏: チョコレート風味は飲みやすさを意識しているので、いわゆる “海外のお菓子” みたいな甘さにならないよう調整をしました。味としてはココアに近いかもしれません。 バニラ風味は4つの中でいちばん甘さが強く、ソフトクリームのような味に仕上がりました。プロテインケーキなどお菓子の料理にも使いやすいのではないかと思っています。 ミックスフルーツ風味はりんご、バナナ、パイン、桃、マンゴーの香料を使っているので「南国フルーツミックス」のようなイメージです。ときどさん、GreedZzさん、takeraさんと試飲したときもいちばん人気でした。プロテインというよりも、ミックスフルーツジュースだと思って飲んでいただけるのではないかと思います。 レモネード風味は甘さが控えめですっきりした味になっています。飲みやすさを意識しているので、酸味もそこまで強くはありません。 ──さらっとお名前が出てきましたけど、ときどさん、GreedZzさん、takeraさんはどういう経緯でご協力いただいているのでしょうか? かなり豪華なメンバーだと思います。 えぬわた氏: みなさんプロゲーマーとしてご活躍されているので私が一方的にTwitter(現X)でフォローをさせていただいたのですが、ちょうどRTAの反響もあり私の存在を知っていただけたようで、みなさんと相互フォローになりました。その後、ときどさんとは動画でコラボもさせていだいています。 今回、Nプロテインを作るにあたって「プロテイン……筋肉といえば……」と考えたとき、真っ先にこの3名が浮かんだため私からお声がけをさせていただきました(笑)。みなさん筋トレとゲームを両立されているので、ご意見をいただけたら心強いと思ったんです。GreedZzさん、takeraさんとは試飲のときに初めてお会いしました。 ──たしかにこの3名の意見は説得力がありそうです。 えぬわた氏: はい。ただ、プロテインは試飲の段階ですでにおいしかったので、大きな方向転換というより「毎日飲むなら」というような視点で細かいところを議論していく形となりました。 ──プロテインはもともとのフレーバーにくわえて「なにで割って飲むか」も重要だと思っています。たとえば水で飲む場合と牛乳で飲む場合とでは味わいがまったく異なりますし、初めて飲む方やあまり飲み慣れていない方に向けておすすめの飲み方を教えてください。 えぬわた氏: それでいうと、やはり牛乳や豆乳はコクが出ておいしいと思います。試飲のときも牛乳が好評でした。糖質や乳糖を気にされている方にはアーモンドミルクもおすすめです。 ──プロテインを牛乳や豆乳で飲むと、デザートドリンクみたいにコクがあっておいしいですよね。初めて飲んだときはおいしさに驚きました。とくに豆乳は豆乳そのものの甘みもプラスされるので甘いものが好きな人はぜひ試していただきたいです。 えぬわた氏: あえてあまり浸透していない飲み方だと、私はヨーグルト×プロテインも好きです。ここ5年間くらいの朝ごはんはだいたい毎日これです。 ──へええ。ヨーグルトと組み合わせることのメリットはどんなところなのでしょうか? えぬわた氏: 朝からごはんをあまり食べられない人でもヨーグルトなら食べやすいと思うんです。また、ヨーグルト自体も腸内環境を整える作用があるためダイエットにもよいと言われています。 ──作り方としては、ヨーグルトにプロテインを混ぜるのでしょうか? えぬわた氏: はい。私は、無糖で無脂肪のヨーグルトを開封前によくシェイクして液状にしてから混ぜています。量の目安としては、ヨーグルト150gに対してプロテイン1食分くらい。しかし、チョコ系とは相性があまりよくないので今回のNプロテインのラインナップならミックスフルーツがよいかもしれません。実際に試してみたらとてもおいしかったので。 ──プロテインは飲み方の自由度が高いところもいいですよね。私はチョコレート系のプロテインに無糖のココアパウダーやインスタントコーヒーを入れて飲むことが多いです。あとは、フレーバーの違うプロテインを調合して飲むこともあって、Nプロテインでいうとチョコレートとバニラを混ぜてもおいしそうだなと思っています。 えぬわた氏: 自分好みにアレンジするのは楽しいですよね。いろんな飲み方を見つけていただきたいです。 ■ほかのプロテインとの違いは? Nプロテインの “価値” ──そもそもえぬわたさんがプロテインを作ろうと思ったきっかけを、改めておうかがいできますでしょうか? えぬわた氏: いったん昔の話になってしまうのですが、私は小学校に入ったころは病弱で入院をすることもありました。そこで、細くて小さい体を克服しようと体操競技を始めたんです。大学まで続けることで体ができあがっていきました。大学に入ると、やりたかったゲームを廃人のようにやりながらも週6のトレーニングは欠かさずにやっていたので筋トレとゲーム漬けの毎日を送っていました(笑)。 ──もともと体が弱かったとは、現在のえぬわたさんの肉体から想像できないです。 えぬわた氏: そうかもしれませんね(笑)。私は運動とゲームを極めてきた人間として、「ゲームを長く遊ぶには体力が必要だ」ということを身をもって実感しています。 しかしながら、ゲームの配信者として周りを見渡してみると「ゲーマーは体力が必要なのに不摂生になってしまう人が多い」と感じました。私は、プロゲーマー、ストリーマー、ゲームクリエイターなども含めて、すべてのゲーマーが健康になってほしいと思っています。私自身がゲーマーだからこそ周りの仲間に健康の大切さを説きたい。そこにある種の “責任” を感じました。 RTAは2023年2月に引退をしたので、改めて「自分がやり残していることはなんだろう」と考えたとき、この課題に尽くしたいと思ったんです。 ──なるほど。ゲーマーの健康問題への課題を解決するための手段が「ゲーマー向けのオリジナルプロテインを作る」ということだったのでしょうか? なぜプロテインに? えぬわた氏: プロテインにした理由はいくつかあります。まずひとつ目は私自身が毎日飲んでいるため身近なものだったということ。ふたつ目は「おいしい」というポジティブな要素があり、運動がセットでついてきやすいということ。あとは信頼できるプロテインメーカーに巡り合えたことも大きいです。 ──たしかに、いきなり運動を取り入れることはハードルが高いですが、プロテインなら飲むだけなので取り入れやすさはありますね。それに「せっかくプロテインを飲むなら軽く筋トレもしてみようかな」という気持ちにならなくもない。どこまでやるかは別として、少なくとも栄養や健康を考えるきっかけにはなると思います。 えぬわた氏: ご自身の健康について考えてもらえたら、それだけでNプロテインの価値はあると思います。 というのも、ゲームクリエイターの方が開発中に病院送りになった話や、ストリーマーが配信中に倒れてしまった話など耳にするんですね。そういった話を聞くと、少しでも疲れにくい体を作ってくれたらと思うんです。そのために私にできることとして、Nプロテインを作りました。 ──Nプロテインの強みはどんなところだとお考えですか? えぬわた氏: 近年の筋トレブームもあり、市場にはものすごい数のプロテインが出回っていると思うんです。そのなかで後発の強みとしては、蓄積したノウハウを使い「市場のプロテインと比較してそれよりおいしいものを作る」ことだと思います。製造をお願いしている会社は市場に出ている人気のプロテインを多く手がけている大手プロテインメーカーなので、味にはこだわりました。 ──なるほど。素人考えで申し訳ないのですが、「味がいい」という点だけで他社の後発プロテインとの差別化はできるものなのでしょうか? 同じような品質のプロテインがあるなかで、Nプロテインを買う理由はどんなところでしょうか? えぬわた氏: その点でいうと、Nプロテインはゲーマーのみなさんが「自らの健康を考えるきっかけ」になってくれればいいな、と考えています。ですから極端な話、最終的に選ばれるものがNプロテインでなく、他社さんのものであってもなんの問題もありません。 ただ、世の中には「プロテインを飲んでみたいけどどれを飲んだらいいのかよくわからない」という方はけっこう多いと思うんです。わからないから、なんとなく飲まずにいる。あるいはそこまで興味が湧かないだとか。 しかしながら、それがもしえぬわたを知ってくださる人だったら「えぬわたのプロテインなら試しに飲んでみるか」と思ってもらえるのではないかと考えました。知っている人が作っているほうが手に取りやすいのではないか、と思ったんです。 ──たしかにそれはありますね。しかもNプロテインはときどさん、GreedZzさん、takeraさんのフィードバックも反映されているので、より裾野が広がる気がします。みなさんが真剣に議論されたプロテインなら「ちょっと飲んでみたい」という気持ちになります。 えぬわた氏: ありがとうございます。私のNプロテインが健康を考えるきっかけになってもらえたらうれしいです。 最後に私事で恐縮ですが、先日、「えぬわた」としての活動を11月30日をもって終了することを発表いたしました。 Nプロテインの発売日は12月13日を予定しているため、残念ながら発売されるころには私のアカウントは消えていると思います。しかしながら私がこれまで活動してきたことの集大成としてNプロテインを残すことができました。えぬわたとしての活動が終了してもお買い求めいただけますのでご安心ください。 この試みは、プロテインを売りさばくことが目標ではなく、不摂生になりがちなゲーマーを健康にすることが目標です。まずは「プロテインっておいしい」ということを多くの人に知ってもらいたい。 そしてゲーマーの健康意識が高まり、ゲームをより楽しく遊ぶことができるようになれば私としてはとてもうれしく思います。ぜひ、応援のほどよろしくお願いいたします。(了) Nプロテインは、えぬわた氏が自ら大手プロテインメーカーにプレゼンを行い実現にいたったプロテインだった。企画書の作成から物流の構築、そして資金まで負担していることから本気度がうかがえる。 しかしえぬわた氏の目標はプロテインを売りさばくことではない。すべてのゲーマーを健康にすることが目標であり、Nプロテインは「自らの健康を考えるきっかけ」になってくれればいい、と語る。 筆者も30kgの減量を機に健康についての大切さを身をもって実感しているため、えぬわた氏の志に共感することばかりだった。筆者の本『デブからの脱却』にも書いているが、まずはおやつなどの間食をプロテインにするだけでもいい。「不摂生な人ほどプロテインに助けられる」というのが筆者の体験談だ。 Nプロテインは11月17日より予約が開始され、12月13日に発売を予定している。さまざまなプロテインが溢れるなかで、えぬわた氏の想いが詰まったプロテインを試してみてはいかがだろうか。 なお、電ファミではえぬわた氏、ときど氏、takera氏にお集まりいただき「筋肉座談会」を実施した記事も近日中に公開予定となっている。
電ファミニコゲーマー:柳本マリエ,実存
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