「公立の星」が初の福岡大会V、強豪私学を次々撃破 進学校…少ない練習時間を工夫、延長11回熱戦制す【高校野球春季大会】
◆九州地区高校野球福岡大会決勝 春日4―2大牟田(延長11回)=5日・北九州市民 県立校の春日が大牟田をタイブレークとなった延長11回の熱戦で破り、初の福岡大会優勝を決めた。1―1のままタイブレークに突入し2イニング目の11回、1死二、三塁から5番大川凌平(3年)が右翼の頭上を越える2点適時打を放ち勝ち越した。さらにこの回1点を追加。その裏の相手の反撃を1点でしのぎタイブレークでは不利と言われる先攻で勝利を決めた。 ■【写真】勝ち越し適時二塁打を放ち、塁上でガッツポーズが飛び出した春日の大川 「前の打者が犠打でチャンスをつくって回してくれた。外のスライダーをしっかり振り抜きました。打ち上げたかなと思ったけど、思ったより打球が伸びました」と大川は殊勲打に笑みがこぼれた。 今春から採用された低反発バットで、大事な場面で長打が出た。冬の練習ではバント練習と同時に低く強い打球を飛ばす練習をしてきた。「狙っているのは強い打球。当たりが良ければ長打になります」と大川は練習通りに強い打球を狙い長打となった。「長打が打てる打者」という八塚昌章監督の期待に応えた。 昨秋は準決勝で飯塚に敗れ九州大会を逃した。その経験から立てたスローガンが「4位から1位へ」。「スローガンを達成できたのがうれしい」と八塚監督は初優勝の喜びに沸く選手を見つめた。県立の進学校で野球の実績による推薦入学制度はない。週2日は7限目まで授業があるため練習開始は午後5時からで、午後7時半が完全下校と決まっているので7時前には練習を終了する。少ない練習時間で工夫して力を伸ばしてきた。 八塚監督は「うちの野球は準備野球。準備をしっかりしておけば試合で不意を突かれることもない」とグラウンドコンディションなど細かいことまで目配りするよう指導する。「文武両道」を目指すチームカラーが人気を呼び、私立校並みの3学年で約80人の部員を抱える大所帯となった。 春休みにもかかわらずバス3台で応援に駆けつけた一般生徒の応援の声に後押しされて念願の初優勝をつかんだ。次は初めての九州大会の舞台。「九州大会でも春日高校のつなぐ野球をしてきたい」と樋渡力紀主将(3年)。県内の強豪私立を次々に破り頂点に立った「公立の星」として、九州の強豪を相手に快進撃を目指す。 (前田泰子)
西日本新聞社