すべての大阪府立高で「短期留学」制度を導入へ…私学人気に対抗、府が1人10万円補助
大阪府は、高校生の英語力を高めるため、全府立高校に海外の高校と姉妹校提携させ、1校当たり20人程度を現地に短期留学させる方針を固めた。府教育委員会関係者への取材でわかった。2025年度から3年かけて導入予定で、留学費用の一部を補助し、25年度予算案に関連費用を盛り込む方向で最終調整している。都道府県による全公立高校を対象にした留学制度は異例。
現在、全日制の府立高校148校のうち、海外姉妹校を持つのは49校。現地での短期の語学研修を行う学校もあったが、渡航費用などが高騰し、研修が困難になっていた。
府教委関係者によると、全府立高校に海外姉妹校を設け、1校につき20人程度を留学させる案をまとめた。期間は10日間程度を想定。1人当たり10万円を補助し、残りは自己負担とする予定だ。普段も姉妹校とオンラインで交流するため、提携先は英語圏で時差の問題がないオーストラリアやフィリピンなどを検討している。
25年度は、すでに姉妹校がある49校で留学を実施予定で、他の高校が姉妹校を選定する費用なども合わせ、約2・6億円の予算化を目指す。全校が姉妹校を持つ27年度は5億円程度の予算を見込み、28年度から全府立高校で留学を行う。
吉村洋文知事は昨年12月、府教委との会議で、「若い世代は海外と接する機会が多くなる。世界の公用語である英語でコミュニケーションするマインドが重要だ」と発言。「1府立高校1姉妹校を実現したい」と述べ、大阪・関西万博が開催される25年を英語教育強化の契機とする考えを示した。これを受け、府教委が具体策を検討していた。
公立高校を巡っては、大都市圏で志望者減が目立っており、人気回復が課題となっている。
東京都中学校長会が今月発表した25年度の高校志望予定調査の結果では、全日制志望者のうち、都立高を第1志望にした人の割合は過去最低の66・97%。大阪府立高校も24年度入試で約半数が定員割れした。所得制限のない高校授業料無償化の影響で、大学入試対策などに手厚い私学に流れているとみられる。
府教委は留学制度で府立高の魅力向上を図り、志望者増につなげたい考えだ。