地域で介護人材争奪戦 町の3事業所サービス休止・廃止 職員退職や利用者減で経営悪化 3人の受け入れ先決まらぬまま
長野県下伊那郡阿南町は、町内3カ所の介護福祉施設がサービスを休止、廃止すると明らかにした。利用者の減少や、介護職員の確保が難しいことが背景にある。各施設は、利用者が町内の他施設に受け入れられるよう調整に当たっている。
夜勤担う職員退職
町の指定管理を受け、富草地区でデイサービスや居宅介護支援などを担うNPO法人「宅老所いこいの家」は、利用者の受け入れ先を調整した上で4月末をめどに全ての事業を終了する。利用者減少で経営が悪化していたという。 町社協が大下条地区で運営する認知症グループホーム「まめだかな」(定員9人)は新たな受け入れを止め、休止する方針。入所者が町内の特別養護老人ホーム(特養)に移れるよう調整しているが、3人の入所先が決まっていない。夜勤を担う複数の正規職員が退職したことなどが理由。町社協は「飯田下伊那全体で介護人材を取り合う状況。飯田市から遠い南部地域に来てくれる人は少ない」とする。
「受け皿はなんとかあるが…」
社会福祉法人萱垣(かやがき)会(飯田市)が運営する新野地区の「はなのき荘」は、利用者の減少や人手不足のため、訪問介護事業と宿泊サービスを3月末で休止、廃止する。デイサービスや特養など他の事業は続ける。同法人は「介護現場で働く人も高齢化している地域。介護のサービスを維持するには民間だけでは厳しい」とする。 勝野一成町長は、休廃止されるサービスの利用者について「受け皿はなんとかあるが、今後も同じことが起きる。考えていかないといけない」と受け止めた。