巨大絵馬40年ぶり修復 加賀藩の豪商ゆかり粟崎八幡神社の「太閤記絵」
●日本遺産の文化財受け継ぐ決意 加賀藩の豪商・木谷藤右衛門(きやとうえもん)ゆかりの粟崎八幡神社は21日までに、所蔵する巨大絵馬「太閤記絵(たいこうきえ)」(市民俗文化財)を40年ぶりに修復した。絵馬は日本遺産「北前船寄港地・船主集落」の構成文化財に認定されている。お披露目されたきらびやかな絵馬を前に、住民らは「粟崎のお宝」を受け継ぐ決意を新たにしている。 「太閤記絵」は縦1・5メートル、横8メートルで、太閤こと、豊臣秀吉の誕生から関白に上り詰めるまでの生涯を13の場面で描いている。加賀藩お抱え絵師である佐々木泉景の門人・松波景栄が制作し、1861(文久元)年、粟崎八幡神社に奉納された。 修復は市の助成を受け、5月から10月末にかけて行われた。裏紙が所々破れていたため、二俣和紙など4種類の和紙を重ね貼りして強度を高めたほか、絵の具の剥離を抑える処置などが施された。完成した姿は、今月12日に神社で公開された。 20日は村山卓市長が視察に訪れた。関係者は、神社の責任役員会長の北川正司さん(71)の説明を聞きながら「太閤記絵」に見入り、秀吉の立身出世を精緻な描写と鮮やかな色彩で表現した絵の世界に浸った。 粟崎八幡神社には「太閤記絵」を含めて19点の絵馬があり、このうち11点が日本船舶海洋工学会の「ふね遺産」、13点が日本遺産「北前船寄港地・船主集落」の構成文化財に認定されている。 北川さんは「どれも後世に残していかなければならない宝。これからも地域で大切に守りたい」と話した。