大泉洋、ダークヒーロー・蓮田兵衛に共通点 二面性伝える新場面写真公開
また、大泉は本作には現代に通ずることがあるといい、「室町時代の後期は政治が機能していなくて、飢饉もあってとんでもない数の餓死者が出て、本当に荒廃しきっている。それはどこか、昨今のコロナの時代にも重なるものがあると思うんです。たまたま僕たちは医学、科学が進歩していたからなんとか乗り越えたけれど、例えば室町時代にこれだけの感染症があれば、さらにものすごい数の人が亡くなっていたのだろうなと。本当に死と隣合わせの時代だったのだろうというのは、コロナ禍を経験した今、想像ができました」と持論を展開。「兵衛は自分の命はどこか諦めていても、他の人のためにこの状況を変えてやるという覚悟があった。それを胸に強く持って演じました。戦う中で仲間ができるのだけれど、その仲間も含めて、なんとかみんなを死なせたくないという思いで頑張っていました」と役へのアプローチを振り返る。 本作では大泉が本格的な殺陣にも挑んでおり、「もっと若いうちにやれたら良かったとも思ったけれど、この歳だからできる味わいはあると思いました。時代劇というのはやっぱりこれからも残していきたいもの。時代劇でしか出せない人々の熱というのはあると思うんです。死がもっともっと身近な時代で、生きていくことが簡単ではなかった時代。今は今で大変なのかも知れないけれど、どうやって自分を、家族を死なせずに生きていくのかということに一生懸命だった時代。それはやはり、時代劇でしか表現できないこと。それでも現代とは全く違うのかというと、そうでもない。生きていくということに一生懸命だった時代を見ることで、今の自分の生き方が研ぎ澄まされる。シンプルに物事を考えられる。そんな気がするんです。時代劇は、もっとシンプルに『自分は何ができたら幸せなんだろうか』といったことを考えるきっかけになるような気もしています」と時代劇だからこそ伝えられることに言及している。
公開された場面写真2点は、雨に打たれながら悲壮な表情を浮かべる姿、燃え盛る館を背景に馬上から一揆の仲間たちに檄を飛ばす姿という彼の2面性を伝える。(編集部・石井百合子)