「晩生が豊作」とのご託宣 日枝神社で御神的神事 南房総(千葉県)
南房総市増間にある日枝神社で1日、稲作の豊凶を占う「御神的(おまと)」が4年ぶりに行われた。増間区では、担い手不足により来年以降は休止としており、節目となった今回は、氏子が心を込めて、伝統の歩射神事を執り行い、「晩生(おくて)が豊作」と託宣があった。 1300年の歴史を持つとされる神事。昭和38年に県指定無形民俗文化財に指定されており、房総の魅力500選の一つにも選ばれている。毎年3月1日に執り行われてきた。 しかし、人口減少と高齢化により、担い手不足に。数年前から地域で話し合った結果、道具の調達、修理などの準備段階から、映像と文書で手順を記録として残した上で、来年以降は、いったん休止することになった。 射手は、会社員の川名祐也さん(38)と、石野章浩さん(40)。地域住民らが見守る中、羽織はかま姿で鳥居の下に立ち、43メートル先にある、ヨシで編まれた直径約2メートルの的をめがけて、矢を放った。 早生(わせ)、中生(なかて)、晩生(おくて)で12本ずつ、計36本が放たれた結果、早生が2本、中生が0本、晩生が9本的中した。矢が命中するたび、歓声や拍手が湧いた。 安田勝彦区長は「これまで伝統をつないできた先人の尽力に敬意を表したい。申し訳ない気持ちもあるが、地域で話し合って休止を決めた。記録を基に、いつの日か復活できれば」と複雑な胸中を語った。