米長期国債ETFが過去最長の下げ、3000億円流出-資金引き揚げ急ぐ
(ブルームバーグ): 米金融当局と日本銀行の政策決定を週内に控え、米長期国債に投資するものとしては世界最大の上場投資信託(ETF)から資金引き揚げを急ぐ動きが市場で広がっている。
堅調な経済成長が債券利回りの上昇圧力となり、安全資産の需要が後退する中、iシェアーズ米国債20年超ETF(TLT)は18日に8営業日続落となった。これは2002年の設定以来、最長の下げ。5週連続で資金が流出し、この間に引き出された資金は計20億ドル(約3000億円)に達した。
売り込まれた米国債がいずれ大きなリターンを生むとみて、トレーダーがTLTに多額の資金を注ぎ込んでいた昨年から、状況が一変した。
100億ドル損失でも米長期国債のETFに資金流入-その理由は
株式や暗号資産(仮想通貨)連動型ファンドがかつてないペースで資金を取り込み、リスク資産ブームの兆しが顕在化している。米金融当局は今週、金融政策の見通しを更新する予定だが、トレーダーは根強いインフレ圧力を受けて当局者が今年の利下げ見通し変更を迫られるかどうかを注視している。
一方、日銀はマイナス金利政策とイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)解除に踏み切ると予想されている。
ジョーンズトレーディングのETF責任者、デーブ・ルッツ氏は「『より長くより高い金利』に市場は備えている」とし、「経済データは引き続き比較的堅調な景気と根強いインフレを示唆している。日銀はマイナス金利政策解除の方向にあり、そうなれば日本の利回りは上昇し、米利回りもそれにつられる可能性がある」と分析した。
原題:Treasury ETF Hit by Record Losing Streak, $2 Billion of Outflows(抜粋)
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Lu Wang