名スカウトのドラフト採点。「成功は日ハム、中日、オリ。失敗は偏向巨人」
「このドラフトで間違いのない即戦力は、鈴木と田嶋の2人だけ。その鈴木と田嶋を指名できた中日、オリックスは最高の戦力補強をしたことになる。中日は2位で高校生ではナンバーワンの石川翔を取った。ケガがちらしいが、凄いバネがあり最速は150キロを超えてくる。将来のエース候補。落合がGM時代は社会人ばかりをとって、そのひずみが出ていたが、今回は甲子園優勝投手の清水達也ら高校生を5人取ったのも、球団のビジョンとして正解だ。オリックスは2位でも日立製作所の鈴木康平を押さえた。投手らしく、まだ伸びシロもある本格派。昨年もオリックスは山岡、黒木の1、2位で成功したが、2年続けていいドラフトをした」 オリックスは、福良監督がくじ引きの連敗記録を止めて田嶋をゲット、2位で日立製作所の鈴木康平まで取れたのは大きい。投手3人、捕手1人、野手4人(社会人5人、高校3人)の指名構成で、3位で攻走守が揃った左打ちのショート、NTT東日本の福田周平、4位では、星槎国際湘南高の本田仁海を指名した。桐蔭学園で高橋由伸らを育てた名将、土屋恵三郎監督自慢の将来性のある豪腕。 中日は、即リリーバーとして使える鈴木に加え、甲子園出場経験はないが、スカウトの間で評判だった青藍泰斗高の石川翔、花咲徳栄の清水達也もとれた。勝負と育成のテーマがハッキリしたドラフトだ。 また片岡氏は「鍛えて育てる」という独自カラーがハッキリと見えた広島の戦略も評価した。 「広島は、地元の中村に加え、大型右腕の山口翔(熊本工)、大学生だが、どちらかといえば、ボールがめっぽう速く伸び幅のあるケムナ・ブラッド誠、平岡敬人を指名するなど“鍛えて育てる”という広島カラーに沿ったドラフトをした。スカウトからすれば成功のドラフトだろう」 広島は、投手4人、捕手1人、野手1人(大学2人、高校生4人)の指名構成の育成型ドラフト。高校ビッグ3の中村に加え、山口翔、鈴木誠也と同じく二松学舎出身で「体がごついが足も速い」という“誠也2世”の 永井敦士も4位指名。中部学院大の平岡敬人は、床田寛樹の1年後輩だ。 また阪神、横浜DeNA、西武、ロッテの4球団には、それぞれ光る点があったという。 「阪神は1、2位で即戦力投手を押さえ、3位でショートの守備だけならすぐ使える立教大の熊谷敬宥、俊足という一芸のある上武大の島田海吏も指名してバランスが取れていた。横浜DeNAは、立命大の東を一本釣りしたが、今永、石田、濱口と、左腕で成功してきた系譜に彼を加え、左腕をさらに充実させようというのだろう。東は先発、中継ぎと使い勝手はいい。西武の斎藤は、打者には見辛い左腕。岐阜経済大の與座海人は、大学選手権で目を引いたアンダースローで、牧田がいるチームらしいバラエティを考えた選択。 ロッテは、安田と、鉄砲肩で足もある内野手の藤岡裕大(トヨタ自動車)というセットで1、2位をまとめた。清宮に比べて安田は堅さがあるが三塁を守れる。井口新監督を迎え、ここから数年のスパンでチームを作れるだろうから、日本人のクリーンナップを育てるという意味では、いいドラフトになったと思う」 では、片岡氏が、失敗ドラフトと見たのは、どの球団だろうか。